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斜面災害復旧工法で説明会開催 技術者ら熱心に受講

      

▲写真は説明会の模様、挨拶する菊地支部長

 SSLアンカー協会九州支部とQ&Sフレーム協会九州支部(菊地冬樹支部長=日特建設株式会社九州支店長)は、10月6日に宮崎市民文化ホールで「SSLアンカー工法及びQ&Sフレーム工法」に関する説明会を開催した。県内各地から官庁や建設業の技術系職員ら54人が参加し、両工法に関する知識と理解を深めた。

 局地的な集中豪雨や大規模地震等に起因する斜面災害が各地で頻発し、斜面防災対策の必要性が急速に高まっている。一方で、斜面災害の復旧対策に於いては、コスト縮減や構造物の性能・耐久性の向上、環境への配慮が求められていることから、協会では斜面災害の復旧工法に関する説明会を九州管内で年1回開催している。

 開会挨拶で菊池支部長は、九州地方で大規模な災害が多発している現状に触れ、災害発生時に於ける会として協力を約束。同日の説明会で解説する両工法が斜面の地滑り等に有効であるとして、「尊い人命や財産を守るために役立ててもらいたい」と述べた。

 SSLアンカー工法は、様々な地盤に応じた全く新しい嵌合(はまり合い)機構「拡孔支圧型アンカー体」を形成することにより、従来の周面摩擦型アンカーの弱点であるアンカー体と設置地盤との進行性劣化を克服。進行性劣化の影響を受けにくく、アンカー体長を短くすることができ、かつ支持機構をより完全なものとした。

 Q&Sフレーム工法は、スターラップを予め組み込み、急速施工と高品質な構造を実現したフレーム工法。フレーム部材は、スターラップを予め組み込んだ折り畳み式フレームを設計通りに工場生産し、現場に運んで広げる。地すべり対策や急傾斜面対策、災害復旧など用途は多岐にわたり、アンカー付法枠工にも最適としている。

 説明会では、本部専門委員の榎田充哉委員長と木村博史委員が、両工法の特徴や設計・施工について詳しく解説。また、美郷町西郷地区の地すべり災害復旧工事におけるSSLアンカーの施工事例として、株式会社工藤興業の興梠竜治氏が説明を行い、グラウト流出等もなく、アンカー体設置地盤に造成できたことを報告した。

 説明会ではこのほか、宮崎大学工学部工学科の末次大輔教授が、「地盤における木材利用の可能性~『カーボンニュートラル』に貢献する地盤技術~」をテーマに講演。森林・林業の現状や土木分野に於ける木材利用、未来に向けた取り組みなどを紹介した。