▲写真は知事賞の表彰受賞者
宮崎県は8月29日、2023年度「宮崎県優良工事表彰」の知事賞表彰式を県庁で行った。表彰式には▽株式会社緒方組▽株式会社谷口組▽株式会社坂下組▽旭建設株式会社▽横河NS・清本特定建設工事共同企業体―の5者の代表と技術者が出席。河野俊嗣知事が表彰状と記念品を贈り、創意工夫にあふれた施工と優れた技術を称えた。
宮崎県優良工事表彰は、公共三部(県土整備部・農政水産部・環境森林部)が所管する建設工事で、工事成績が優秀であり、かつ他の模範となる取り組みを行っている工事を表彰するもの。建設業者や従事者の意欲向上を図り、公共工事に対する県民のイメージアップに繋げることなどを目的として2010年度に創設した。
表彰の対象は、前年度に完成した当初設計額1000万円以上の公共三部所管工事。工事成績評定が対象工事全体の平均点以上となっている工事や、施工・施工管理・安全対策・地元調整・環境対策等で取り組んだ創意工夫や努力が顕著な効果を発揮し、地域住民や現場作業員等の喜びや感謝につながった工事などを選んだ。
表彰式で河野知事は、本県に於けるインフラ整備の重要性を強調するとともに、各地で災害が多発する中で、建設業に対する期待が高まっていると指摘。表彰を通じて、建設業の果たす役割を広く周知するとともに、「今後も建設業界のリーダーとして良い仕事をして、業界の更なる発展に尽力してもらいたい」と呼び掛けた。
農政水産部発注のほ場整備工事で現場代理人を務めた谷口組の佐藤浩さんは、10年の第1回表彰以来、2回目の知事賞を受賞。「受賞はとても光栄」と喜びを語り、「排水対策に苦慮しつつ、地元調整など周囲ときめ細かな連携を図った」と現場の苦労を振り返った。同社の谷口大海代表取締役は、「これからも良い仕事をして、地域の安全・安心の確保に邁進し、地域に愛される企業を目指していきたい」と意気込みを語った。
受賞工事の概要は以下のとおり(▽施工業者=①対象工事②工事概要③講評要旨)。
〔環境森林部〕
▽緒方組=①災害関連緊急治山事業押建②谷止工、水路工、木柵、丸太筋工③夏場のコンクリートの早期軟化対策として、遅延型のAE減水剤を配合したコンクリートを使用したほか、施工箇所の隣接地に作業ヤードを設け、ポンプ車から直接打設できるようにして、ひび割れのない品質の良いコンクリートに仕上げた。
〔農政水産部〕
▽谷口組=①経営体育成基盤整備事業塩屋原地区1工区②整地工、道路工、用水路工、排水路工③田面の均平度や表土厚の確保など繊細な施工・管理が必要なうえ、細かな構造物が多い面的整備であり、特に高い技術力が求められる工事であったが、ICT施工を駆使して作業の省力化を図り、良好な出来映えで完成させた。
〔県土整備部〕
▽坂下組=①小林えびの高原牧園線道路災害復旧工事②盛土工、法面保護工、排水構造物工、下層路盤工、構造物取壊工③硫黄山では水蒸気噴火の恐れがあり、野外作業者の安全確保のため、作業時間を短縮できる情報化施工を採用。盛土工では、施工区間を4区間に分けることで、盛土材流出等のリスクを低減させた。
▽旭建設株式会社=①鹿野遊谷川砂防堰堤工事②砂防堰堤、垂直壁工、モルタル吹付工③遠隔操作技術とICT技術を融合させた無人化ICT施工を独自に開発し、危険が伴う掘削現場内で完全無人化施工を達成。3次元モデルを積極的に活用し、設計図書の照査や施工上の課題抽出を迅速に行い、困難な現場条件を最新技術で克服した。
▽横河NS・清本特定JV=①国道218号干支大橋耐震補強工事その1②ブレーキトラス改修、粘性ダンパー設置、支承取替、橋梁補強、座屈拘束ブレース設置外③耐震補強として国内初となるブレーキトラス改修を確実に施工するだけでなく、様々な取り組みを提案・実施することで品質の確保や精度の向上、安全な施工を実現した。
■部長賞の表彰式も開催
同日には県庁で、2023年度「宮崎県優良工事表彰」の部長賞の表彰式も行った。環境森林部長賞を受賞した株式会社徳満建設、農政水産部長賞を受賞した原工業株式会社、県土整備部長賞を受賞した▽株式会社坂口組▽叶工業株式会社▽豊松建設株式会社―の3者に対して、各部長から表彰状と記念品が贈られた。
県土整備部長賞の表彰式では、原口耕治部長が「各現場で技術者の方々が工夫を凝らし、たゆまぬ努力で成果を挙げられた」として、各者の取り組みに敬意を表するとともに、「表彰が皆さんのモチベーションや技術の向上に繋がるとともに、広く周知することで将来の担い手の確保・育成にも繋がれば」と期待を込めた。
受賞者を代表して謝辞を述べた叶工業の野瀬栄樹代表取締役は、「現場代理人の努力により、工期中には事故もなく、工事完成時には住民の方から感謝の言葉をいただき、無事に完工することができた」「県民の安心・安全のため、努力を惜しまず、より良いものを造れる会社になれるよう精進していく」などと意気込みを語った。