老朽化に伴う渡川発電所の大規模改良事業に取り組む宮崎県企業局は、新年度から発電設備の更新工事に着手する予定でいる。昨年6月にニュージェックに委託した実施設計が完了したことを受けて、29年度当初予算に事業費の一部を計上。平成33年度までに総額30億円余を投じて設備の更新を図ると共に、同時進行で取付道路の整備工事も行う。
ダム水路式の渡川発電所(日向市東郷町下三ヶ字下村2059)は、小丸川総合開発事業の一環として建設されたもの。昭和30年の運用開始から60年が経過し、主要機器や基礎部に老朽化が見られることから、最新機器を導入することにより、発電所の総合的な運転信頼性の向上や発生電力量の増加を図る。
既設発電所の設備概要は、▽最大出力=1万2000㌔㍗▽最大使用水量=16m3/s▽水車形式=立軸フランシス▽水車最大出力(台数)=6950㌔㍗(2台)▽発電機形式=三相交流同期発電機▽発電機容量(台数)=7500kVA(2台)▽主要変圧器形式=屋外用油入自冷式▽主要変圧器定格容量(台数)=1万5000kVA(1台)―など。
平成27年度の基本設計を基に決定した計画概要案では、▽建屋は補修及び補強▽水圧鉄管及び分岐管は継続使用▽使用水量は既設と同じく16m3/s(1台あたり8m3/s)▽水車発電機一式更新▽水車発電機台数は既設と同じく2台▽変電所機器一式更新▽11kV関連機器一式更新―などを整備項目に掲げている。
企業局では、大規模改良事業に伴う設備更新工事を新年度に一括で発注する見通しでいる。平成29年度の当初予算に事業費の一部となる6564万円を計上。平成33年度までの継続費として30億3564万円を見込む。このほか当初予算には取付道路工事費として2億2000万円を計上している。
事業効果に関して、最新機器の導入及び基礎部の改良を行うことにより、発電所の総合的な運転信頼性が向上し、発生電力量が増加すると共に、固定価格買取制度の活用による収入の増加も見込めるとしている。