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施設コンセプトなど示す、最終処分場構想案 日向広域

 新たな最終処分場の建設を計画する日向東臼杵広域連合は、12月21日に開催した建設検討委員会の初会合で、施設整備に係る基本構想案のたたき台を示した。美郷町西郷田代を建設候補地とし、次期処分場の埋立容量を5万7100m3と設定する。処分形式や概算事業費、事業手法、事業スケジュールは、第2回建設検討委員会で協議する。

 日向市、門川町、美郷町、諸塚村及び椎葉村で構成する日向東臼杵広域連合では、圏域から排出される可燃ごみの焼却灰や不燃ごみのうち埋立処分する不燃物について、現在、日向市の一般廃棄物最終処分場で埋立処理を行っているが、既設処分場に関しては、埋立終了時期(2031年度予定)が迫っている状況にある。

 このため広域連合では、圏域の廃棄物処理にとって重要かつ必要不可欠な施設である最終処分場を新設することを定め、2021年度から2年間にわたり、学識者や環境団体、構成市町村住民代表、公募委員で構成する用地選定検討委員会で候補地の検討を実施。その検討結果をもとに、正副広域連合長会議で建設候補地を選定した。

 今回、広域連合が示した基本構想案では、こうした背景や目的、ごみ処理の現状、ごみ排出量及び処理量の予測を踏まえ、次期広域最終処分場の施設規模を設定。廃棄物量を4万0800m3、廃棄物量の40%にあたる1万6300m3を覆土量とし、これらの合計である埋立容量を5万7100m3と設定した。埋立期間は15年間とする。

 処分場整備に係るコンセプトには「未来を築く地域と共生した最終処分場」を掲げ、①災害や気候変動に対して強靭な構造を採用した「安全・安心」な施設②施設内の緑化といった自然環境や生活環境などの「環境に配慮」した施設③地域に親しみをもって受け入れていただけるように「地域との融和」を考慮した施設―に特に配慮する。

 防災・減災対策として、建物は建築基準法、貯留構造物や造成法面等の構造物は地震動を考慮した安定解析に基づいて耐震設計を行う。豪雨時における大量の雨水が一度に下流へ流れることを防止するため、最終処分場用地内に防災調整池を設置するとともに、近年の降雨量においても処理が可能な浸出水処理施設の整備を計画する。

 処分場の各施設の計画・設計に際しては、「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」及び性能指針などの関係法令・指針に準拠する。さらに、「廃棄物最終処分場整備の計画・設計・管理要領2010改訂版」及び道路土工、宮崎県の土木基準等を参考に計画・設計を行う。

 構想案では、埋立地の遮水工や貯留構造物、地下水及び浸出水集排水施設、ガス抜き施設のほか、浸出水処理施設や雨水集排水施設、防災施設(防災調整池)、飛散防止施設、モニタリング施設などの主要施設に関して、「遮水工は表面遮水工を基本とする」「貯留構造物はアースダム形式を基本とする」といった方針も示した。

 また、防災調整池の位置や周辺環境への影響を考慮した施設の配置計画も示しているが、今後の測量調査や地質調査の結果を踏まえ、施設配置の再検討を行うとしている。このほか、参考資料として、今後のおおかなスケジュール案も提示した。

 建設検討委員会では、2月に開催予定の第2回会合で最終処分形式や概算事業費、事業手法、事業スケジュールなどを協議し、これを踏まえて基本構想を決定する考え。6月頃に開く第3回会合で測量調査の報告や地質調査計画及び施設配置計画の協議を行い、11月頃に開く第4回会合で予備調査結果を受けた施設計画を報告する。

 第1回会議の会議録や資料は、日向東臼杵広域連合のホームページで確認できる。