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県内区間の残事業費は1千億超 九州横断自動車延岡線

 国土交通省九州地方整備局が整備を進める一般国道218号(九州横断自動車延岡線)の県内区間に関して、事業中の▽蘇陽五ヶ瀬道路▽五ヶ瀬高千穂道路▽高千穂雲海橋道路―の3区間の残事業費は、合計で約1028億円となっている。事業進捗率はいずれも1桁台となっており、各路線での工事の本格化に向けて、今後、用地取得や各種調査、測量・設計等を推進する。

 12月19日に開かれた2022年度第3回事業評価監視委員会で、九地整の担当者が事業の進捗状況や変更概要などを委員に説明し、いずれの事業も継続の了承を得た。

 九州横断自動車道延岡線は、熊本県上益城郡嘉島町を起点とし、宮崎県延岡市に至る計画延長約95㎞(うち開通済延長30.8㎞)の高規格道路。高規格道路である九州縦貫自動車道及び東九州自動車道に接続する広域道路ネットワークを形成するとともに、国道218号の防災機能の向上や救急医療アクセスの向上等を図る。

 県内区間では、高千穂日之影道路(延長5.1㎞)や北方延岡道路(延長13.1㎞)が既に開通しており、現在は蘇陽五ヶ瀬道路(延長7.9㎞)、五ヶ瀬高千穂道路(延長9.2㎞)、高千穂雲海橋道路(延長3.3㎞)の3区間が事業中。高千穂日之影道路と北方延岡道路に挟まれた区間が、唯一、調査中区間となっている。

 このうち蘇陽五ヶ瀬道路に関しては、土砂災害等の災害リスク回避のため、当初の盛土区間を橋梁に、切土区間をトンネルに変更するなど、道路構造の見直しを行った。その結果、橋梁は当初計画から6橋増えて11橋に、トンネルは同じく1箇所増えて4箇所となる。見直し後の全体事業費は約378億円で、進捗率は事業費ベースで約3%。

 五ヶ瀬高千穂道路に関しても、災害リスク回避のため、橋梁延長の変更やトンネルを切土に変更するなどの道路構造の見直しを行った。その結果、橋梁10橋の総延長が当初から192m増えて1608mとなったほか、トンネルが2箇所減って合計6箇所となる。見直し後の全体事業費は約559億円で、進捗率は事業費ベースで約6%。

 五ヶ瀬高千穂道路の各トンネルの延長は、▽1号トンネル=2424m▽2号トンネル=390m▽3号トンネル=1045m▽4号トンネル=420m▽5号トンネル=480m▽6号トンネル=320m―を計画する。

 一方、高千穂雲海橋道路に関しては、線形不良箇所や事故多発箇所を回避することで、災害時の支援道路として信頼性の高いネットワークを確保する。区間内には、延長206mの鋼橋1箇所(中路式アーチ)、トンネル1箇所(本線1720m、避難坑1705m)を整備する。全体事業費は約160億円で、進捗率は事業費ベースで約1%。

 各路線の残事業費や計画数量の内訳は次の通り(21年度末時点)。

*蘇陽五ヶ瀬道路
▽改良費(100億3200万円)=土工36億7100万円(切土186万m3・盛土68万m3・トンネルズリ11万m3)、軟弱地盤改良工3億9100万円(5万0298m3)、法面工14億3600万円(24万4758m2)、擁壁工12億1600万円(補強土壁・もたれ式擁壁・L型擁壁)、管渠工6億5000万円、函渠工2億2800万円(255m)、排水工5億9900万円(7022m)、中央分離帯工5億1500万円(7742m)、雑工13億2600万円(側道工・防護柵工・仮設工等)
▽橋梁費(130億円)=100m以上(PC3橋、合計627m)72億1500万円、100m未満10橋(鋼橋1橋・PC1橋・跨道橋8橋、合計499m)57億8500万円
▽トンネル費(60億4000万円)=NATM4本(合計877m)
▽IC・JCT費(19億2000万円)=ダイヤモンド型ハーフ2箇所
▽舗装費(11億1700万円)=車道舗装(排水性舗装・橋梁舗装・トンネル舗装9万0269m2)
▽付帯施設費(4億3400万円)=交通管理施設工(標識工・立入防護柵工・照明工等)
▽用地及補償費(6億5900万円)=用地費1億8300万円、補償費4億7600万円
▽間接経費(27億9300万円)=地質調査、測量、設計費用等

*五ヶ瀬高千穂道路
▽改良費(94億9200万円)=土工60億8400万円(切土78万m3・盛土20万1000m3・トンネルズリ67万9000m3)、軟弱地盤改良9億2600万円(11万9114m3)、法面工8億3500万円(12万2800m2)、擁壁工4億9600万円、管渠工9700万円、函渠工7900万円(67m)、排水工3億2700万円(4643m)、中央分離帯工6億0400万円(9035m)、雑工4400万円(側道工・防護柵工等)
▽橋梁費(161億9300万円)=100m以上(7橋、合計1334m)141億7700万円、100m未満(3橋、合計274m)19億3700万円、跨道橋(1橋、74m)7900万円
▽トンネル費(188億7000万円)=NATM6本(合計5079m)
▽IC・JCT費(9億4700万円=ダイヤモンド型ハーフ2箇所
▽舗装費(5億2900万円)=車道舗装(排水性舗装3万3957m2)
▽付帯施設費(3億3700万円)=交通管理施設工(標識工・立入防護柵工・照明工等)
▽用地及補償費(4億5100万円)=用地費7100万円、補償費3億8000万円
▽間接経費(41億7700万円)=地質調査、測量、設計費用等
全体事業費50,996

*高千穂雲海橋道路
▽改良費(12億8700万円)=土工5億4400万円(切土16万3330m3・盛土10万7425m3・トンネルズリ21万5000m3)、軟弱地盤改良2300万円(3015m3)、法面工6100万円(1万2966m2)、擁壁工7900万円、管渠工1億1100万円、函渠工1億4400万円、排水工1億0100万円(1242m)、中央分離帯工1億6900万円、雑工5500万円(側道工・防護柵工・仮設工等)
▽橋梁費(27億2900万円)=100m以上鋼橋1橋(中路式アーチ、延長206m)
▽トンネル費(86億1200万円)=NATM2本(本線1720m・避難坑1705m)
▽IC・JCT費(3億2300万円)=立体Y型ハーフ1箇所
▽舗装費(4億4400万円)=車道舗装(排水性舗装・橋梁舗装・トンネル舗装3万8971m2)
▽付帯施設費(7900万円)=交通管理施設工(標識工・立入防護柵工・照明工等)
▽用地及補償費(2億8400万円)=用地費8100万円、補償費2億0300万円
▽間接経費(20億6900万円)=地質調査、測量、設計費用及び予備費等。