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11月にプール着工、基本設計概要を公表 宮崎県

 宮崎県は、2027年に本県で開催される国民スポーツ大会及び全国障害者スポーツ大会に向けたプール施設の基本設計をまとめ、開会中の県議会総務政策常任委員会で報告した。新施設の規模は、構造がRC造一部SRC造、S造、階数が地上3階、延床面積が1万4201m2。計画では2022年11月に建設工事に着手する。

 国スポ・障スポのほか、大規模な公式大会が開催可能な日本水泳連盟公認プール(国内一般・AA)を、宮崎市錦本町の県有グラウンド跡地に整備する計画。PFI法に基づく特定事業として、鹿島建設を代表企業とするグループがプール施設の設計・建設・運営及び維持管理を行うほか、敷地内の余剰地に民間収益施設を整備する。

 プール施設に関しては、▽集いや賑わいが生まれる「ひなたメドレータウン」の中心として次世代に引き継がれる施設計画▽大規模な公式大会の開催に加え、通常時の県民の一般利用に配慮した施設計画▽全ての人にとって使いやすい施設計画▽宮崎の気候に適し、地域産財を活かした地球に優しい施設計画―を設計コンセプトに掲げた。

 主要施設のうち50mプールは、基本形状が50.02m×25.02m(水深2.0m)で、可動床を採用。長水路及び短水路の国内公認、水球公認、アーティスティックスイミングの基準を満たす。50mプールの観客席は、固定席1500席、仮設席1012席の合計2512席で、車いす席15席を確保する。

 25mプールの基本形状は、25.01m×20.51m(8コース)で、水深は1.1mと1.6mの2段階。付属施設として、入水用スロープを設ける。

 その他の諸室として、更衣室(男女各2箇所)、シャワー室、監視室、救護室、役員室、放送・記録室、審判質、会議室、多目的更衣室と兼用のドーピング検査室を配置。トレーニング室や多目的スタジオ、大規模災害時対応の備蓄倉庫のほか、屋外クライミングウォールや屋内ボルダリングも設置する。

 構造体の耐震安全性の目標は、「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」の規定によるⅡ類の耐震安全性を確保。構造体及び非構造部材の耐風に関する性能は、「官庁施設の基本的性能基準」の規定によるⅡ類の耐風性能を確保する。構造体コンクリートは、JASS5(2018)に定める「長期」の耐久性能を確保する。

 主体構造は、上部構造がRC造一部SRC造、S造で、屋根構造がS造、プール槽がプレストレストコンクリート造。架構形式は、上部が純ラーメン架構、50mプール上部の屋根がトラス架構とする。床形式は、床型枠用鋼製デッキプレートもしくは在来型枠を用いた現場打ちコンクリートとする。基礎形式は杭基礎

 電気設備の設計方針では、公認基準を満たすよう、必要な照度等を確保。耐震安全性乙類による耐震施工とするほか、環境負荷低減のため、屋根に太陽光発電設備を設置する。2階の発電機室に自家発電設備を設置するとともに、停電時に電源供給可能な太陽光蓄電池システムを採用する。

 機械設備の設計方針では、水温調節のための昇温・冷却設備、清浄な水質を確保するための循環ろ過設備や滅菌装置を設置。プール室の空調は複数系統で制御性の高い計画、会議室は個別制御可能な計画とする。耐震安全性乙類による耐震施工とし、地震時に上水を確保できるよう、受水槽に緊急遮断弁を設置する。

 こうした機能を備えたプール施設の概算事業費は、15年間の運営・維持管理費を含めて155・9億円。事業スケジュールによると、22年11月に着工し、24年12月に完成させる。25年1月に開業準備を開始し、同年4月から施設の供用を開始。26年にリハーサル大会、27年に国スポ・障スポの開催を迎える。