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健幸拠点施設基本設計、内藤建築事務所と契約 小林市

      

▲施設のイメージスケッチ
※イメージスケッチはホームページより抜粋

 公募型プロポーザル方式で「健幸のまちづくり拠点施設整備基本設計業務委託」の事業者選定作業を進めていた小林市は、最優秀者に内藤建築事務所を特定し、同社と9月14日付で契約を締結した。税抜の契約金額は3100万円(予定金額は3200万円)。プロポーザルの審査結果や契約内容と合わせて、同社の提案概要をホームページで公開している。

 経年に伴い老朽化が進む市民体育館やその周辺施設が抱える課題のほか、市民アンケートによるニーズ調査の結果を踏まえ、体育館機能や健康づくり機能、子育て支援機能、避難所機能を備えた「健幸のまちづくり拠点施設」を総合運動公園(十三塚)内に再整備する計画。市はこれまでに、施設整備に係る基本計画をまとめている。

 市がまとめた基本計画では、これらの機能を踏まえた施設規模について、体育館機能を約5310m2、健康づくり・子育て支援機能を約916m2と試算し、計画延床面積を6226m2程度と設定。当該業務では、施設整備に係る基本設計業務と関連業務を行う。業務の履行期間は、9月14日~2023年3月17日を予定する。

 施設の整備手法に関しては、基本設計完了後に、実施設計と施工を一括して発注するDB(デザインビルド)方式の採用を予定している。外構や駐車場等を含む現時点の概算の建築工事費は37億6000万円(税込)。23年度に実施設計及び施工を一括発注する予定で、最終的に26年度の施設運用開始を目指している。

 基本設計の発注に際しては、市の競争入札参加資格を有し、同種・類似業務の実績を持つ事業者を対象に技術提案を公募。8月25日にプレゼンテーション審査を行い、選定委員会で厳正かつ公正に審査した結果、最優秀者に内藤建築事務所を特定した。

 同社は、総合運動公園の各施設をつなぎ、回遊性と交流を創出する「パークリノベーション」を提案。既存の運動施設や広場と計画建物をつなぐ「健幸プロムナード」を創出し、公園全体が一体となった活気ある人の流れをつくるとともに、計画建物と既存施設の相互利用を促進し、利用率の向上や新たな交流機会の創出を図る。

 利便性や運用面に配慮し、隣接するテニスコートを含めた「スポーツゾーン」と「健康づくり・子育て支援ゾーン」を明確に分けたゾーニング計画とする。大会やイベント時の人の流れを子育て支援センター利用者動線と区別し、安全性を確保する。独立して検診車の寄り付きが可能な計画とし、健診の運用にも配慮する。

 計画建物はRC造2階建延べ約6100m2。1階(約4700m2)の東側にアリーナ等の体育館機能、西側に子育て支援センターや相談室等の健康づくり・子育て支援機能を配置し、兼用する多目的室や会議室等は中央に配置する。北側には、これらの機能をつなぐ交流・飲食スペースとして「健幸ストリート」を設ける。

 2階(約1400m2)には、アリーナの四周に約800席の観覧席やランニングコースを配置。西側部分は、美しい霧島連山を眺めながら軽運動ができる憩いの「あずまやテラス」と位置付ける。やまなみをイメージしたのびやかな大屋根「てなむルーフ」が、人々をやさしく迎え、小林市の健幸の未来を表現している。

 敷地内には、一般・職員・バス・思いやりを含めた247台の駐車場のほか、雨に濡れずに乗降できる車寄せ、子育て支援センターに隣接した子ども広場、既存コースを継承したクロスカントリーコースも設ける。施設全体のオールフラット化や利用しやすいトイレ、分かり易いサインなど、ユニバーサルデザインに配慮する。

 災害に強い安心・安全な施設とするため、建物と浄化槽は杭基礎で周辺よりも堅固な地盤に支持する。避難所となるアリーナは、脱落防止対策として天井を設けず、アリーナ上部にはシステムトラスを採用する。強風対策としてガラス面には飛散防止フィルムを採用。豪雨による浸水を防ぐため、出入口には止水板を計画する。

 施設の運用・維持管理に関しては、外皮性能の向上や自然エネルギーの活用、高効率機器の採用等の省エネ手法とメンテナンスへの配慮により、基準建物と比較してライフサイクルコストを約25%削減する。市産スギ材の積極活用や、伝統工芸品の籐を内装や照明に取り入れることで、小林市でしかできないオンリーワン施設とする。

 設計工程や業務体制に関しては、関係者に対するヒアリングや設計の進捗に合わせた複数回の概算工事費算出とVE検討、市民参加ワークショップの開催等を通じて、コスト管理の徹底と対話重視による合意形成を図る。3月中頃までに基本設計を確定させたのち、4月以降にデザインビルドに係る要求水準書を作成する予定でいる。