宮崎県は、本県農業農村の発展のために必要な農業農村整備事業の方向性を示す第三次みやざきNN推進プラン(宮崎県農業農村整備事業推進総合計画)を策定した。重点施策に、スマート農業に対応したほ場整備の加速化や畑地かんがい施設整備等の推進、農業用施設等の防災減災対策などを掲げ、これに基づく施策を展開していく。
県では、持続可能な魅力ある農業の実現を目指し、2021年3月に「第八次宮崎県農業・農村振興長期計画」(第八次長計)をスタート。これを踏まえて策定した「第三次みやざきNN推進プラン」では、農業農村整備に携わる者が重点的に取り組むべき施策を明確にし、より具体的な取組方策を示した。計画期間は22~25年度の4箇年。
プランでは、持続可能な魅力ある農業の実現に向けて、①スマート農業に対応した水田や畑のほ場整備の加速化②計画的な営農に対応した畑地かんがい施設整備等の推進③農村を維持させるための集落機能強化④災害に備えた農業用施設等の防災減災対策と農業水利施設等の計画的な更新整備と維持管理体制の強化―を重点施策に位置付ける。
このうち①に関しては、自動走行農業機械等を活用し、生産コスト低減を図る大区画のほ場整備を推進するとともに、担い手のニーズに応えるため、スピード感をもって区画拡大に繋がる畦畔除去等の簡易な基盤整備に取り組むとした。水田のほ場整備面積を25年度に1万6000㌶(19年度=1万5275㌶)に拡げることを目標に掲げる。
具体的には、地域の話し合いを通じた将来の営農構想を作成するなどして、ほ場整備後の営農ビジョンを明確化するとともに、地域のニーズに応じた効率的かつ機動的な整備手法を検討する。関連施策として、基幹農道やほ場内農道の整備に取り組むほか、農地集積・集約化の促進と合わせて、農家負担軽減策を提案・提示する。
②に関しては、天候に左右されない営農で生産性を高める畑地かんがい施設の整備に加え、ICT等を活用したかん水自動化に取り組む。具体的には、事業実施中の着実な水利用率向上や散水施設の省力化による普及・拡大を図り、25年度の畑地かんがい施設整備面積を25年度に1万2200㌶(19年度=1万0537㌶)に拡大させる。
③に関しては、日本型直接支払制度等を活用し、地域の保全活動と鳥獣被害対策を推進するとともに、活動を安定して継続するため、広域化等による組織体制の強化を図る。農業人材を確保するための施設維持管理負担に対する取り組みの強化や、農村集落の維持・活性化のための定住条件に必要なインフラ及びライフラインの整備に取り組む。
このほか④に関しては、機能診断及び機能保全計画に基づく農業用施設の補修や更新整備、定期的な点検結果等のデータベース化・情報共有による維持管理体制の強化、農業水利施設のICT化など維持管理の省力化を図るとともに、防災重点農業用ため池の補強対策工事や管理施設の設置、現地パトロール等の管理保全体制の強化に努める。
農業水利施設については、基幹水利施設ストックマネジメント事業や湛水防除事業等を活用し、ICT化を踏まえた更新整備を計画的に実施する。また、県内の防災重点農業用ため池424箇所のすべてについて、25年度までに劣化状況評価や地震豪雨耐性評価を行い、21~25年度に6箇所の廃止工事と41箇所の対策工事を実施する。
第三次みやざきNN推進プランは、宮崎県のホームページ(トップ>しごと・産業>農業>農業全般・計画)で確認できる。