建設ネット企画画像 四角 四角

グラウンドやクラブハウス整備 屋外型トレセン基本設計

▲屋外型トレセンのイメージ

 宮崎県は、オーシャンドーム跡地(宮崎市山崎町)に整備する屋外型トレーニングセンターの基本設計をまとめた。天然芝のラグビー・サッカーグラウンドや400mトラックを備えた多目的グランドのほか、クラブハウスなど建物9棟を整備する。設計・施工は吉原・和広・NTTファシリティーズ特定建設工事共同企業体。2023年4月の供用開始を目指す。

 県が重点施策に位置付ける「スポーツランドみやざき」の更なる推進に向けて、シーガイアのオーシャンドーム跡地(約6㌶)に、ラグビーやサッカーをはじめとしたトップアスリートの合宿拠点として活用できる屋外型トレーニングセンターを整備する計画。整備後には、国の屋外型ナショナルトレーニングセンターの指定を目指す。

 基本設計によると、全体コンセプトは「躍動感あふれる新たな屋外スポーツ拠点」。①トップアスリートの合宿を誘致できる高品質なグラウンド、クラブハウス等の実現②最適な施設配置計画で周辺施設と効率的な連携運用の実現③県産材等の利用やスポーツとICTの融合も視野に入れた県民に親しまれる施設の実現―を軸に整備する。

 メインとなるラグビー・サッカーグラウンド(123m×76m)は、天然芝の良好な成育条件を確保するため、日照条件や通風が均一となる西側エリア中央に配置。グラウンド北側にハイブリット芝のスクラム練習場を設けるほか、AIカメラを設置して、クラブハウス内から練習や試合等の状況を記録・配信できるようにする。

 一方で、天然芝と比べて保安林による湿気や日陰の影響を受け難く、日照通風環境の変化に強いハイブリッド芝の多目的グラウンドを保安林側に配置。周囲にはウレタン舗装とクレイ舗装の400mトラック6レーンを配置する。陸上競技の追風参考記録を減らすため、トラックの長辺方向を卓越風に直交させた南北方向とする。

 建物に関しては、▽クラブハウス▽木廊▽室内練習場▽トイレ2棟▽管理棟▽メンテナンス車両庫▽用具倉庫2棟―の9棟を計画。また、敷地北側にアスファルト舗装の駐車場、南側に砂利敷の駐車場を設ける。砂利敷駐車場の周囲には、現場発生土を活用して、1周約500m、最大高低差2・5mのカントリー走路を配置する。

 クラブハウス(S造2階建延べ1348m2)の意匠は、防風林やグラウンドの水平性と調和を図る片流れの一枚屋根で力強さを表現。2分割して利用できるロッカールームやミーティングルーム、トイレ・シャワー室、医務室のほか、中央通路を挟んでジムエリアを配置する。大スパン架構が可能なS造を採用し、ジムエリアに無柱空間を確保する。

 人工芝の室内練習場(S造平屋建延べ1851m2)には、トラス梁を採用して、大スパン架構を実現。グラウンドをイメージしたラインを計画し、ラインアウト等の高さを必要とする練習にも対応できるよう、十分な天井高さを確保する。

 クラブハウスの周囲に設ける木廊(木造平屋136m2)や管理棟(木造平屋38m2)、トイレ棟(木造平屋62m2×2棟)には県産材を活用し、施設の利用者に広く県産材をPRする。このほか、木廊の柱及び梁部分には、オリンピック・パラリンピック選手村ビレッジプラザで使用されたレガシー材を構造材として活用する。

 機械設備に関しては、省エネや新型コロナウイルス等感染症対策に配慮した効果的・経済的な計画とする。電気設備に関しては、安全快適で高品質な光環境・通信環境を維持するとともに、省エネや環境に配慮した計画とする。海岸からの距離が近く、塩害を受ける恐れが高いため、屋外へ設ける主要機器は重耐塩害仕様とする。

 両グラウンドと駐車場、クラブハウスの間には中央プロムナードを設け、移動式観客席やトイレを配置し、競技者及び観客がどの競技・フィールドに対してもスムーズにアプローチ・観戦が可能な動線を確保する。パラアスリートや帯同者に対しても、メインエントランスの車寄せから最短でフラットに移動可能できるよう計画する。