九州・山口各県と経済団体が連携し、九州創生のための課題に取り組むプロジェクト「JEWELS+」(ジュエルズプラス)は、外国人労働者が働きやすい工夫を講じている企業の事例集をまとめた。県内企業では、技能実習・特定技能分野でえびの電子工業株式会社、技術・人文知識・国際業務分野で株式会社岸田電業を紹介している。
ジュエルズプラスは、しごとづくりや教育環境、出会い・結婚・妊娠・出産・子育て、安全安全を基本とする第1期九州創生アクションプラン「JEWELSプラン」(2015~19年)を土台に、新技術への挑戦や女性の視点、外国人材受入・共生などの新たな分野をプラスして九州創生を加速する第2期アクションプラン。
今回、策定した事例集は、同プランの「外国人材に選ばれる九州・山口WinWinプロジェクト」で、外国人労働者が働きやすい工夫をしている九州・山口県内の企業の事例をまとめた。在留資格ごとに、技能実習・特定技能で11社、技術・人文知識・国際業務で4社の取り組みやその効果などを紹介している。
電気工事業の岸田電業は、JICA(国際協力機構)のICT人材向け日本就職トレーニングプログラムで受講者であるバングラデシュ人と交流する機会があり、その人柄に好印象を抱き、自社でも採用することを決めた。外国籍社員は、社内業務のIT化や外国人向けの第二種電気工事士受験対策のアプリ開発などの業務に従事している。
同社では、新型コロナウイルス感染症の発生前から、オンラインによる日本語教育やミーティングを実施していたが、入国制限でモチベーションや日本語力の低下を感じたため、引き続きオンラインによる教育や面談を継続した。自社や日本に対する理解を深めさせ、来日後、スムーズに業務や生活ができるよう、積極的に関わりを保った。
本人達の努力とオンラインで常に日本語に触れていたため、外国籍社員は日常会話に不自由のないレベルで入社。社員や周囲も違和感なく受け入れ、交流を深めている。人柄も良く、自国の宗教や様子、多様な意見や考え方を提供し、「日本人従業員にも良い刺激や相乗効果をもたらし、社内の雰囲気を良くしてくれている」という。
代表者メッセージでは、「採用を決めた代表者が責任を持って、社員と外国人の潤滑油になることが大切だと思う。入社後は、コミュニケーション能力に長けた社員をキーパーソンとして配置すると、関係強化が図られると思う」とコメントしている。
一方、製造業のえびの電子工業では、外国人が生活しやすい環境を整えるため、IHコンロや洗濯乾燥機等の電化製品を備えた完全個室化の寮を整備。日本語検定の合格レベルが上がるほど寮費を安くし、外国人の方の学ぶ意欲を後押ししたり、3年以上会社に在籍を希望する者の寮費を安くするなどして、生活の支援に繋げている。
このほか、病院の送迎や検定試験等の際には、日本人職員が車で送迎し、必要な場合は日本語通訳のできる外国人従業員が同行するなどの配慮をしている。所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進、育児・介護等の休暇の取得などに会社全体で積極的に取り組んでおり、日本人と外国人で分け隔て無い待遇を行っている。
事例集は宮崎県のホームページ等を通じて確認できる。