新商品や新サービスの開発・提供等に取り組む中小企業を支援する中小企業等経営強化法に基づく経営革新制度で、宮崎県は2022年5月に▽株式会社エス・サンク▽株式会社エミオテクノロジー▽株式会社FOF▽株式会社サンマコモ―の4社の経営革新計画を承認した。22年度の承認件数は、今回を含めて5件となる
経営革新計画は、新事業に取り組む中小企業者が自ら経営目標を設定し、経営の質の向上を図るために作成するもの。知事から承認を受けた計画は、政府系金融機関の低利融資や設備投資の減税、特許関係料金の減免などの支援措置を受けることができる。
土木建築サービス業のFOF(児玉玲子代表取締役、宮崎市)の経営革新計画テーマは、「構造物点検における新技術活用による生産性及び品質の革新的な向上」。
同社の主力業務である「構造物点検」業務は、国の構造物点検の厳格化により、発注案件は増加しているものの、建設業界の慢性的な人手不足の影響もあり、受注を逃すなど機会喪失が多く発生している。こうした状況を踏まえ、経験の浅い従業員でも正確で効率的な構造物点検が可能となる新サービスの提供を経営革新計画として取り組む。
具体的には、同社の既存事業を活かしつつ、「デジタル野帳やMR技術」といった最新機器を活用した効率的で正確な構造物点検サービスを提供する。橋梁点検では、目視によるひび割れ確認やハンマーによる打音検査が主流となっているが、最新機器による検査・確認を行うことで、人手と時間を短縮。人の技術不足を機械が補完する。
同社は、充実した社内教育により、現場技術班・事務所技術班ともにデジタル機器の取り扱いに長けており、遠隔地であっても点検日に事務所班が図面処理やデータ処理を行うことが可能な体制を構築し、正確で効率的な業務管理に努めている。
一方、電子回路製造業のエミオテクノロジー(石田恭一代表取締役、日向市)では、新工場の建設と新規雇用で生産ラインを強化するとともに、はんだ付けロボットを導入し、従業員が手作業で実施しているディスクリート部品のはんだ付け工程を自動化することで生産性を向上させ、取引量の増加や新規顧客獲得による売上拡大を図る。
制度の詳細は県のホームページで確認できる。相談窓口は各商工会議所・商工会、宮崎県中小企業団体中央会、宮崎県産業振興機構、中小企業診断士など。申請書の提出先は、宮崎県商工観光労働部商工政策課経営金融支援室(電話0985-26-7097)。