▲構成システムの状況
鹿島は、建設現場での残コン・戻りコンの発生をゼロにすると同時にCО2削減を実現する新たなシステムを開発した。4月26日、発表した。既存の濁水処理装置などを使って、残コン・戻りコンを▽再利用できる粗骨材▽CО2を吸収・固定した処理土▽放流可能な処理水―に分離する。システムの効率化などを図り、秋ごろをめどに実用化する。同社では、脱炭素社会の実現に向けた技術の一つとして、ノウハウを建設業界全体で共有したい考えだ。
建設現場で生コンクリートが余る「残コン」や、荷下ろしされずに生コン工場に戻される「戻りコン」は、近年増加する傾向にあり、その削減が大きな課題になっている。
新たに開発したシステムは、大規模現場に一般的に設置している濁水処理装置に、散水装置付きの振動式ふるいと、撹拌(かくはん)機を備えた水槽を追加して構成する。
まず、散水装置付きの振動式ふるいに残コンなどを投入し、粗骨材とモルタルを分離する。そして、ふるいの下部に設置した水槽に落下したモルタル分を撹拌し、懸濁水状になったモルタルを濁水処理装置に送る。さらに、濁水処理装置で、液化炭酸ガス(CО2)を使って処理を行い、CО2を吸収・固定して中和された処理土(炭酸カルシウムと細骨材の混合物)と、pHが放流基準値以下になった処理水を分離する。
これまでに、千葉県内の現場で実証実験を実施し、有効性を確認した。今後、ふるいの分離能力を向上させるなどして現場に本格導入する。将来的には、液化炭酸ガスに、現場の重機などの排ガスを用いるようにしたい考え。
26日に開いた記者会見で同社執行役員・土木技術部長の坂田昇氏は、今回のシステム開発について「他社と競い合うものではなく、CО2排出削減に向けた技術の一つとして業界全体で共有したい」と話していた。