▲写真は訓練の模様
南海トラフ巨大地震の発生を想定した2022年度の「宮崎県総合防災訓練」が、11月6日に日南市や串間市などで行われた。メイン会場の日南市大藤河川公園では、道路啓開や救助・救急、消火、災害時医療、映像伝達といった実動訓練を行い、災害発生時に於けるそれぞれ役割や組織間の連携体制などを参加者が確認した。
県では毎年、市町村や防災に携わる行政・公共機関、防災協定締結機関、自主防災組織、地域住民らが参加する総合防災訓練を各地で開催。新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりの開催となった今年の訓練には、約100機関から約700人が参加した。
開会式で河野俊嗣知事は、県内各地に甚大な被害を与えた台風14号のほか、県内で発生した震度5弱の地震、高い確率で発生が予想されている南海トラフ地震について言及。防災・減災、国土強靱化の取り組みや早期の避難の重要性を訴えるとともに、関係機関とも連携しながら、緊張感を持って備えを進めていく考えを示した。
今回の訓練では、日向灘を震源とするマグニチュード9クラスの巨大地震により、県内沿岸部で最大震度7の地震が発生し、大津波警報が発令されたケースを想定。道路啓開訓練では、県警の先行部隊が緊急輸送道路に多量の土砂が堆積していることを確認し、連絡を受けた宮崎県日南土木事務所の職員が当該道路を封鎖した。
日南土木事務所から応援要請を受けた日南地区建設業協会の会員は、国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所が所有する「簡易遠隔操縦装置」(ロボQS)を取り付けたバックホウを手元のコントローラーで操縦して、道路上に堆積した土砂を迅速に撤去した。ロボQSを使用した道路啓開訓練は県内では初めてという。
実動訓練ではこのほか、自衛隊の航空機や九州地方整備局のヘリコプターによる情報伝達訓練、警察・消防・自衛隊・関係機関による埋没車両救出訓練や車両撤去訓練、座屈倒壊建物救出訓練、医師をはじめとするDMATによる医療活動訓練などを行った。
一方、日南総合運動公園では、一般社団法人宮崎県電業協会が発電機を設置して、各団体の防災展示ブースに電源を供給するとともに、地震を自動検知して通電火災を防止するブレーカーなどを紹介した。一般社団法人宮崎県建築協会は、熊本地震で倒壊した家屋の写真をパネルで紹介し、災害への備えや耐震化の重要性などを訴えた。
当日はこのほか、県立日南病院で災害時医療活動訓練や燃料・電力供給訓練、日南市の中核SSで緊急通行車両燃料供給訓練、串間市民総合体育館と串間市総合保険福祉センターで避難訓練や避難所・ボランティアセンター運営訓練、都城市高城運動公園と小林市八幡原市民総合センターで物資輸送訓練なども行われた。
運動公園の多目的体育館内では、NPO法人宮崎県防災士ネットワークが防災に関する講話を実施。また、竹材と毛布を使った簡易担架の作成体験も行った。
実働訓練の会場では、日南地区建設業協会が事前に大藤河川公園の清掃奉仕活動を行ったことも紹介された。同協会の河野直継会長は、地域の守り手として社会インフラの整備や維持管理、災害対応を担う建設業の役割を踏まえ、あらゆる状況に対処できるよう、重機の遠隔操縦をはじめとした様々な訓練に取り組む必要性を強調した。