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旧サンチェリー北郷、公設での整備に方針転換 日南市

 日南市の髙橋透市長は、早期の営業再開を目指していた北郷温泉施設(旧サンチェリー北郷)に関して、民設民営での再開を断念し、市が既存施設の一部を改修して、宿泊なしの日帰り温泉として再整備する方針に転換すると発表した。今後、既存施設の解体や施設整備に係る設計・工事等を進め、2024年末頃の再開を目指す。

 旧サンチェリー北郷は、1985年11月に宮崎県建設労働者研修福祉センターとしてオープン。87年には隣地の大藤荘を解体して別棟を建設し、日帰り温泉や宿泊、食事を楽しめる施設として、市民や観光客に利用されてきた。その後も、老朽化に伴う施設の改修や露天風呂の設置といった施設の整備・維持管理を行っている。

 その一方で、建設後約40年の間に繰り返されてきた改修や増築の一部に関して、建築基準法に適合しない箇所が多岐に及ぶことが確認されたため、市は利用者の安全性を考慮し、21年4月から施設の利用を休止。発表以降、早期再開を望む多くの声が寄せられたことから、民設民営による施設再開の方針を示していた。

 こうした経緯を踏まえ、市は21年11月に北郷温泉施設再開発事業者の公募を開始。収益性の低い日帰り温泉が必須条件であったため、応募が1件にとどまり、不調に終わったことや、観光団体・金融機関・事業者等へのヒアリングの結果を踏まえ、民設民営方式での営業再開を断念し、公設による整備に方針を転換するとした。

 現時点の整備イメージでは、4棟ある既存建物のうち、大浴場(RC造平屋延べ200m2程度)と隣接する別棟(RC造2階延べ600m2程度)を大規模改修で整備し、残る本館と憩いの家は解体する。整備方針の変更に伴い、22年度当初予算に計上していた北郷温泉施設再開事業のうち、解体費用の一部を12月補正予算案で減額する。

 整備スケジュール案に関して、23年3月頃から既存施設の解体を開始する見通し。これとあわせて、大規模改修に係る基本設計を23年3月までに完了させる。基本設計は市で独自に行う方針。23年3月~9月に実施設計を外注し、23年12月頃に大規模改修工事に着手する。予定では24年の秋頃の完成、同年末までの再開を目指す。

 会見で髙橋市長は、東九州自動車道の宮崎市~日南市間の開通を見据え、「観光資源でもある北郷温泉を、マイクロツーリズムの観点からも活用していきたい」と述べ、公設での整備を判断するに至った経緯を説明した。その上で、施設の収益性やランニングコストを十分に考慮し、これを踏まえた基本設計をまとめる考えを示した。