建設ネット企画画像 四角 四角

湛水防除事業に新規着手、経営体育成基盤整備も 宮崎県

 宮崎県は、農業経営の安定化を目的とした「拾ヶ島・七野地区」など3件の経営体育成基盤整備事業と、湛水被害の発生防止を目的とした「二ツ立地区」の湛水防除事業に来年度、新規着手する。9月30日に開かれた宮崎県公共事業評価委員会(村上啓介委員長=宮崎大学工学部教授)で事業の必要性や概要を説明し、委員の了承を得た。

 公共事業評価は、一定規模以上の事業の必要性と効果を客観的に評価することで、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施するもの。事業着手前に重要度や投資効果等を評価する事前評価、着手から一定年数経過時点で進捗状況や効果等を把握する再評価、事業完了後に効果や影響等を確認する事後評価に分かれる。

 9月に開かれた公共事業評価委員会の2022年度第1回会合では、農政水産部が所管する経営体育成基盤整備事業▽拾ヶ島・七野地区(宮崎市)▽小松・跡江地区(前同)▽新名爪地区(前同)―の3件と、同じく湛水防除事業二ツ立地区(前同)の事前評価を実施。県が示した対応方針の原案どおり、新規着手することを委員が了承した。

 経営体育成基盤事業を実施する3地区は、不整形かつ狭小な区画で農道幅員も狭く、用排水施設が老朽化し、維持管理に苦慮している。このため、用水路の地下埋設化や排水路の改修、ほ場の大区画化、農道拡幅などの整備を行い、担い手への農地集積を加速化させ、経営規模の拡大や大型機械の導入による農業経営の安定化を図る。

 拾ヶ島・七野地区の受益面積(区画整理工)は34.9㌶。主な整備内容として▽整地工A=34.9㌶▽道路工L=6.51㎞▽用水路工L=13.99㎞▽排水路工L=7.38㎞▽客土工A=32.8㌶―を計画する。全体事業費は24億5900万円を見込み、事業期間は23~30年度を予定している。

 小松・跡江地区の受益面積(区画整理工)は53.1㌶。主な整備内容として▽整地工A=53.1㌶▽道路工L=10.03㎞▽用水路工L=11.88㎞▽排水路工L=10.74㎞▽暗渠排水工A=28.3㌶―を計画する。全体事業費は29億0600万円を見込み、事業期間は23~31年度を予定している。

 新名爪地区の受益面積(区画整理工)は41.3㌶。主な整備内容として▽整地工A=41.3㌶▽道路工L=8.50㎞▽用水路工L=11.34㎞▽排水路工L=8.00㎞▽暗渠排水工A=28.8㌶―を計画する。全体事業費は23億2300万円を見込み、事業期間は23~30年度を予定している。

 一方、湛水常襲地帯であった二ツ立地区では、20年度に湛水防除事業で排水機場が設置されたが、その後、作物転換によるハウス設置等の外的立地条件の変化等によって流出率が増加。湛水面積ならびに湛水継続時間が増大し、低位部では毎年、降雨時に湛水被害が発生している。このため、二ツ立排水機場の既設ポンプ増強更新を行う。

 受益面積は132㌶。主要工事として、▽ポンプ設備N=3基(Q=12.5m3/s、φ1200㎜×3台)及び電気設備N=1式▽吸水槽耐震対策工N=1式―を計画する。全体事業費は23億3400万円を見込み、事業期間は23~27年度を予定する。