▲写真は挨拶する小畠会長、講演会の模様
一般社団法人宮崎県地質調査業協会(小畠淳二会長)は11月9日、宮崎市内で2022年度の技術講演会を開催した。地質や地盤に関する知識及び資質の向上を目的に開催しているもの。県内建設企業や行政機関の技術者ら約140人が参加し、河川における環境対策のほか、日向灘の地震活動の特徴やリスクについて学んだ。
挨拶で小畠会長は、台風第14号の影響で土石流や大規模な道路決壊が発生し、地域や集落に甚大な被害をもたらしたことに言及。また、高い確率で発生が想定される南海トラフ巨大地震について触れ、災害に対する備えの必要性を強調し、会員の更なる資質向上を目的とした研修会や講演会を定期的に開催する考えを示した。
基調講演では、国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所の中島忠副所長が「河川における環境対策」をテーマに講演。過去の反省を踏まえた川づくりの考え方や河川掘削時における環境への配慮について、遠賀川や川内川、大淀川を例にとって説明し、「治水」と「環境保全」の両立に向けた取り組みの必要性を訴えた。
このほか、全国に先駆けた河川事業と道路事業の連携事例として、国道のワシントニアパームの植え替えで発生した伐採材を、河川の保全活動で有効活用した取り組みを紹介。地域が主体となった水辺の賑わい活動と合わせて、河川が持つ限りない可能性を更に追求し、より良好な河川空間の保全と創出に取り組むとした。
一方、「日向灘における地震活動と観測研究」をテーマに講演した京都大学防災研究所附属地震予知研究センター宮崎観測所の山下裕亮氏助教は、地震の種類や発生メカニズム、避難の判断基準を解説。その上で、本県最大のリスクである日向灘の地震活動の特徴や現在の地震活動の動向、発生した際のリスクや備えについて説明した。