▲写真は大会の模様
一般社団法人宮崎県建築士会(松竹昭彦会長)は10月24日、宮崎市内で高校生の「建築甲子園」宮崎県予選大会を開催した。県立宮崎工業高等学校、県立日向工業高等学校、都城工業高等専門学校の3校から出場した6チームが全国大会出場を目指し、「地域のくらし―これからの地区センター」をテーマに作品を発表した。
建築甲子園は、建築教育課程のある全国の工業高校、高等学校、工業高等専門学校を対象とした全国規模のコンペ。13回目となる今大会では、地域の暮らしと周辺環境に目を向け、自慢の町や環境を生かすための核となる地区センターについて、従来型にとらわれず、地域の実情に寄り添う在り方を踏まえた自由な提案を求めた。
主催者挨拶で松竹会長は、大会に込められた多くの意味のうち、物事を成し遂げることの重要性を強調。大会に向けて、自分達が創るモノについて考え、それを形にする一連のプロセスを達成した学生の努力を称えるとともに、「大会は競争ではあるが、建築を学ぶ者同士、互いに認め合い、友好を深めてもらいたい」と期待を込めた。
宮崎県予選大会では、審査員が▽テーマの理解度▽提案度▽具体性▽独創性▽表現力(プレゼン力)―の5項目に、出来栄えを加えて作品を評価。最優秀賞1作品、優秀賞2作品程度、奨励賞をそれぞれ選定し、最優秀賞を受賞したチームの作品を全国選手権大会(公益社団法人日本建築士会連合会が審査)に提出する。
プレゼンテーションでは、スライドに平面図などを示しながら、各チームが作品のコンセプトや導入機能などを説明。審査員長を務めた稲用光治氏、一般社団法人宮崎県建築士事務所協会の村社俊弘会長、公益社団法人日本建築家協会九州支部宮崎地域会の久寿米木和夫会長ら6人の審査員から寄せられた鋭い質問に丁寧に答えた。
最優秀賞を受賞した宮崎工業高校Cチーム(岩切舞さん、嶋田彩葉さん、髙橋みづきさん、温水美咲さん)の作品名は「AOSHIMA BEACH HOUSE」。地域住民と観光客の架け橋となるよう、施設の1階に柱のない開放的な広場を設け、海水浴やサーフィン、ヨガなどを楽しんだ人が利用できる更衣室やシャワーも備えた。
2階には、幅広い年齢層が交わる場として、和室や談話室、展示スペース、キッズスペース、景色を楽しめるテラスを配置するとともに、ビーチと直結する階段を設置。3階には、誰でも利用できるカフェのほか、かつて青島に存在していた「A SEA YOU」(足湯)を設け、「青島の活性化につなげたい」と期待を込めた。
次点の優秀賞は、建物に頼ることなく、空き地を広場などとして活用する都城高専Bチームの「PAAC~まちなかに人と繋がる風景をつくる場としての地区センター~」、空き家と空き地を活用して宿場を取り入れた都城高専Cチームの「始まりの地~宿場で交わる人とコミュニティ~」が受賞。この他の3チームには奨励賞が贈られた。
最優秀賞については、11月5日に開催する宮崎県建築士会の創立70周年記念式典で表彰式を行い、会場で再度プレゼンテーションを行ってもらう予定でいる。