宮崎県は、県営国民宿舎の「えびの高原荘とスポーツレクリエーション施設」(えびの大字末永)、「高千穂荘」(高千穂町大字三田井)の活用方法を模索している。現在、指定管理方式で管理運営業務を委託しているこれらの施設について、今期の指定管理が終了する2024年度以降の管理運営手法について検討を進めている。
えびの高原荘は1962年、本県初の県営国民宿舎として、霧島屋久国立公園のえびの高原中心地付近にオープン。県西地域の観光振興の一翼を担う。初代施設の老朽化に伴い、改築工事に着手し、96年に新施設(RC造2階建延べ4100m2)が竣工した。38の客室(延定員130人)や温泉大浴場、グランピング施設を備える.
スポーツレクリエーション施設に関しては、日本最南端の天然スケート場として親しまれていた白紫池スケート場が結氷不十分で使用できなくなったため、89年にえびの高原荘の南側隣接地に屋外の人工スケート場(リンク部面積1800m2)をオープンした。
一方、高千穂荘は、65年に県内2番目の県営国民宿舎として、祖母傾国定公園内の高千穂峡近くにオープン。99年7月にコンベンション機能を強化して改築された。施設規模はRC造3階建一部地下1階、延床面積5380m2。39の客室(延定員110人)や研修ホール、大広間、レストラン、大浴場・サウナを備える。
ただ、両施設ともに13~14年度をピークに利用者数が減少。近年の収支状況を見ると、収入はえびの高原荘が1.8億円~2億円程度、高千穂荘が2.4億円~2.7億円程度で推移し、新型コロナウイルスの影響で20年度は収入が激減した。人件費や管理・事務費が固定的に発生するため、いずれも赤字経営が続いている。
こうした状況を踏まえ、県は今年に入り「県営国民宿舎活用検討業務」をパシフィックコンサルタンツに委託するとともに、地元自治体や有識者、観光関係者などで構成する検討委員会を設置。8月2日に開いた委員会の初会合で、施設の改修や撤去、有効活用など、様々な選択肢について議論していくことを確認した。
このほか、8月24日に宮崎県・地域PPPプラットフォームが開催したセミナーでは、「県営国民宿舎の活用検討」をテーマに民間事業者と意見を交換。施設の概要や設置・管理運営経緯、利用者数及び収支の動向を示した上で、望ましい管理運営手法や事業への関心度、事業に参画する場合に重視する条件等を尋ねた。
県では、民間事業者との意見交換の内容等も踏まえ、検討委員会などを通じて協議を重ね、今年度に施設のあり方に関する基本的な方向性をまとめる考えでいる。