▲要項案で示した資格要件の一例
宮崎県は、東京ビル再整備事業に係る募集要項案や要求水準書案をまとめた。東京都千代田区の既存建物を解体し、職員宿舎や学生寮といった県施設のほか、余剰容積を活用した民間施設を合築して跡地に再整備する。既存施設の解体や新施設の設計・建設・維持管理、所有、マネジメント等を担うグループを、公募型プロポーザル方式で選定する考え。10月末頃に募集要項等を公表し、2022年6月頃に優先交渉権者を決定する。
9月17日に開かれた県議会の総務政策常任委員会で、東京ビル再整備事業に係る募集要項案や要求水準書案の概要を報告した。
東京ビル再整備事業では、財政負担の軽減や将来にわたる資産価値の維持、立地環境を活かした土地及び施設の活用の観点から、敷地の建築可能容積を最大限に活用して建て替えを行う。フロンティアオフィスや学生寮、職員宿舎といった県施設に、民間施設を合築し、建替後の延床面積を最大で7000m2程度とイメージする。
募集要項案では、新施設に整備する県施設として▽職員宿舎=住戸、共用倉庫、風除室・エントランスホール、エレベーターなど▽学生寮=居室、共同洗濯室・自炊室、寮監室、共用倉庫、風除室・エントランスホール、専用エレベーターなど▽その他=フロンティアオフィス、コワーキングスペース、会議室、事務室など―を計画。
民間施設に関しては、建設地が第二種文教地区であるため、キャバレーやナイトクラブ、喫茶店など風営法の適用を受けるもの、ホテル・旅館、劇場・演芸場・観覧場等は不可となる。このほか、所有権が複数の個人に分散する施設、土壌汚染を発生させる恐れのある施設、隣接地及び周辺に迷惑をかけるおそれがある施設等も不可とする。
事業手法に関しては、対象敷地に定期借地権を設定し、事業者に貸し付ける手法を採用する。事業者は、既存建物の解体、新施設の設計・建設を行う。施設完成後、県は県施設部分を事業者から買い取り、事業運営期間を通じて維持管理及び運営を行う。事業者は、民間施設を所有し、自らの費用負担で維持管理及び運営を行う。
貸付対象面積は1438m2(東京都千代田区九段南4丁目8番2号)。定期借地権設定契約期間は、事業者が提案した運営期間(50~70年)に建設工事期間を加えたものとする。県は、既存施設の解体費用及び県施設・共用部分の購入費を支払う。契約終了時には、事業者が自らの責任と費用負担で施設を除去し、更地の状態で返還する。
事業者の募集及び選定は、公募型プロポーザル方式で実施。事業の応募者は、▽既存施設の解体▽設計▽建設▽工事監理▽維持管理▽民間施設の所有▽民間施設等のマネジメント―の各業務を担う複数の事業者で構成するグループとする。応募者となるグループの構成員は、他の応募者の構成員になることはできない。
グループの応募に際しては、各業務ごとに資格要件を設ける。このうち、設計業務に関しては、06年度以降に延床面積7000m2の建築物の実施設計を履行した実績を有することを想定。建設業務に関しては、同じく7000m2の建築物の施工実績を有し、建築一式工事に係る総合評定値が1200点以上であることを求める考え。
事業者の募集及び選定スケジュールでは、今年10月末に募集要項等を公表し、11月上旬に質問の受付、11月中旬に現地見学会を行い、22年1月中旬に参加資格確認申請書の受付を締め切る予定。2月下旬の応募者との意見交換、4月下旬の提案書の締め切り、5月のプレゼンテーションを経て、6月に優先交渉権者を決定する。
一方、事業全体のスケジュールに関しては、22年10月~11月に事業者と基本協定を締結し、同年11月~24年3月に既存施設の解体設計と新施設の設計を行う予定。これと並行して、23年4月~24年9月に既存施設の解体工事、24年10月~26年9月に新施設の建設工事を行い、26年10月の供用開始を目指している。