小林市は、経年劣化や利用者数の減少に伴い、2020年4月から休館している天文施設「北きりしまコスモドーム」について、民設民営で宿泊施設を併設し、観光施設として再整備する手法を検討している。既存施設に関しては市が改修や補修を行った上で、民間事業者が宿泊施設と天文施設を一体的に経営することを想定する。
北きりしまコスモドーム(小林市大字南西方8577-18)は、環境省主催のスター・ウォッチング・コンテストで「星のふるさと日本一」に選ばれた市の特性を活かし、日本一の星空やコスモスに親しんでもらおうと、市内が一望できる生駒高原に建設されたもの。1992年から2カ年で建設を進め、94年に供用を開始した。
既存施設は、93年竣工の研修施設棟(S造ステンレス板平屋建延べ284m2)、プラネタリウム棟(RC造鋼板2階建延べ159m2)、天体観測ドーム棟(RC造陸屋根平屋建延べ105m2)の3棟で構成。このほか、建物の周囲には、駐車場や市街地が一望できる展望台、遊具広場、天体観測用の広場などが設置されている。
ただ、既存の建物や設備は経年劣化が進み、利用者数や利用料収入も減少していたことから、市は今後の施設のあり方を模索するため、20年4月から施設を休館。同年11月以降、国や県のプラットフォームも活用し、民間意見等を把握するためのサウンディング型市場調査や、他県の類似施設に対する個別ヒアリングを行った。
これらの調査・ヒアリング結果を踏まえ、市は天文施設としての機能を存続させつつ、民設民営による宿泊事業を組み合わせ、天文施設と宿泊施設の一体型経営の事業化を検討。8月24日に行われた宮崎県・地域PPPプラットフォームのセミナーで、採算性や実現可能性、具体的な構想案について民間事業者と意見を交わした。
セミナーで市が示した事業方針案では、宿泊施設の整備及び管理運営を全面的に民間事業者が行う一方、既存施設については、市が改修や補修を行った上で、民間事業者が管理運営を行うとしている。事業スキームに関しては、売却や定期借地権方式等も含めて検討。既存施設の管理運営に係るソフト面などは市が支援する。
民間事業者からの意見や提案を参考に、市は引き続き、北きりしまコスモドームの利活用等について、事業展開に向けた検討を行う。