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宮崎県防災拠点庁舎と宮崎西IC防災支援拠点が受賞 全建賞

         

▲宮崎県防災拠点庁舎、宮崎西IC周辺防災支援拠点

 一般社団法人全日本建設技術協会(大石久和会長)は、優れた社会資本整備などを称える2020年度の「全建賞」に84事業を選定した。県内事業では、建築部門で宮崎県防災拠点庁舎整備事業(実施機関=宮崎県)、都市部門で宮崎西インターチェンジ周辺防災支援拠点整備事業(実施機関=宮崎市)がそれぞれ授賞した。

 全建賞は、我が国の良質な社会資本整備の推進と建設技術の発展を促進するため、1953年に創設。日本の社会経済活動を支える根幹的なインフラ整備や、その時々の国民ニーズに沿った取り組みが授賞してきた。1954年の第1回表彰から、今回の表彰で第68回を数え、今回を含めて2805事業が授賞している。

 20年度は、全国から応募のあった307事業の中から、異なる部門の事業が連携した取り組みの部(事業連携の部)に4事業、インフラ整備の事業又は施策に53事業、東日本大震災に係る復旧・復興事業特別枠に13事業、災害復旧・復興事業特別枠に9事業、特定のインフラに係わらない取り組みに5事業を選んだ。

 このうち、建築部門を授賞した宮崎県の防災拠点庁舎整備事業では、南海トラフ巨大地震の発生を見据え、県民の生命と財産を守る災害応急対策の司令塔としての機能や、国及び市町村等の関係機関との連絡調整機能などを備えた新庁舎を整備。20年8月に供用を開始した。事業に合わせて、5号館の移転・改修も行った。

 新庁舎は、「県民の生命と財産を守る庁舎」「人や環境にやさしい庁舎」などをコンセプトに、旧外来者第1駐車場の跡地に建設。構造は、鉄骨造一部鉄筋コンクリート造、階数は地下1階地上10階、延床面積は2万4406m2。県庁舎としてはじめて免震構造を採用したほか、1階床面の嵩上げ等により耐浸水性も確保した。

 審査では、大規模災害時等に備える防災拠点庁舎の整備に際して、地域や景観にも配慮しつつ、構造安全性を確保するとともに、電力・通信、上下水道の確保について多重化した対策を講じるなど、耐震と対浸水の双方に対して、庁舎機能維持の確実性を高める施設整備を行っている点などが高く評価された。

 一方、都市部門を授賞した宮崎市の宮崎西インターチェンジ周辺防災支援拠点整備事業は、大規模災害時においても拠点的医療機能を維持・確保し、救援・救助活動を円滑に進めるため、医療関連施設を整備するための公益的施設用地と、救援の受け入れ先となり得る防災緑地等の公共施設用地を一体的に整備したもの。

 災害時の医療体制を担う市郡医師会病院をはじめ、市内に分散立地していた市郡歯科医師会、市郡薬剤師会、その他医療関連施設を集約することで、大規模災害の被災後における救護体制を整えた。更には、隣接する生目の杜運動公園と連携して、速やかな復旧・復興の支援を可能とする防災緑地3箇所の整備も行った。

 審査では、総合的な防災支援拠点の整備にあたり、地域災害拠点病院が立地し、隣接して県指定救助活動拠点が存在する交通利便性に優れた当地を選定して、災害時の救援・救護活動や復旧・復興を支援する拠点として整備を図った点や、困難な事業を多くの部門が連携して成し遂げた点などが高く評価された。

 このほかの全建賞では、災害復旧・復興事業特別枠で、熊本県などが実施した「平成24年7月九州北部豪雨《線状降水帯に伴う洪水被害》からの創造的復興(白川・黒川河川激甚災害対策特別緊急事業の完成)」、「令和2年7月豪雨に伴う宿泊施設の避難所活用のための応急補修関連事業」などが授賞している。