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急斜面でICT法面掘削、3DMG登載の掘削機活用 旭建設

      

▲写真は特殊掘削機での作業

 日向市に本社を置く旭建設株式会社(黒木繁人代表取締役社長)は、足場のない斜面掘削作業での安全性の向上を図るため、県内で初めて、特殊法面掘削機に3次元データに基づくマシンガイダンスシステムを融合した工法を採用した。西米良村横野で同社が施工する地すべり対策工事で、より安全で効率的な施工に努めている。

 同社が受注した宮崎県環境森林部発注の「山のみち地域づくり交付金事業小川・石打谷線(2工区)」は、急峻な斜面の地すべり対策として、法面工(モルタル吹付工・現場吹付法枠工)やアンカー工などを施工するもの。足場のない勾配45度以上の斜面を掘削する必要があり、特殊法面掘削機で施工を行うことを決めた。

 現場は急峻・複雑な形状で、斜面上での測量や丁張の設置には危険が伴う。また、掘削段階で幾度も高さや勾配管理を行う必要があり、常に転落のリスクが生じるとともに、掘削直後の応力解放で土砂崩壊が発生し、作業員が巻き込まれるリスクも予想された。

 このため同社では、i-Constructionによる3Dマシンガイダンス登載の特殊法面掘削機を採用。斜面上部の立木等のアンカーに、重機本体の油圧ウインチから伸びたワイヤーロープを接続する特殊法面掘削機を使用することで、足場のない斜面に於いても安全に掘削作業を行うことができる。

 掘削機に取り付けられたGPSセンサーで自機の位置や掘削箇所を把握、オペレーターはモニターを確認しながら適切な位置を掘削する。これによって、危険箇所での丁張設置や掘削途中の測量管理が不要となる。

 着手前に取得したドローン空撮測量による現場全体の三次元モデルと、法面に特化した3D設計データを比較することで、複雑な斜面形状での完成イメージを見える化し、事前に問題点を把握することで、手待ち・手戻りも防止できる。

 監理技術者の木下哲治氏は、「作業者が転落するリスクが大きい斜面での掘削作業だけに、特殊法面掘削機や3DマシンガイダンスによるICT法面掘削の導入は、一般的なICT施工に比べて安全効果が高い」と指摘。「悪条件の現場でこそ、積極的にICT施工を導入し、リスクゼロの作業環境を構築していきたい」と話す。