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地域住宅計画を策定、事業費総額は245億 宮崎県内

 宮崎県と県内の全市町村は、2021~25年度を計画期間とする「宮崎県地域住宅計画」と、国の交付金制度を活用するための「宮崎県住宅・住環境ひなたづくり計画」を策定した。多様化する居住ニーズへの対応や良質で適正な住宅ストックの形成などを目標に掲げ、老朽化が進む公営住宅の建替や改修、バリアフリー化等に取り組む。計画期間内の事業費は、総額で245億6100万円を見込む。

 地域住宅計画は、地域の実情に応じた住宅施策を推進するため、国の交付金を活用するために地方公共団体が策定するもの。10年度からは、自由度が高く、創意工夫を活かせる社会資本整備総合交付金を活用している。交付金を活用するためには、地域住宅計画に基づく事業等を位置付けた社会資本総合整備計画を作成する必要がある。

 宮崎県と市町村が策定した地域住宅計画では、少子高齢化社会や人口・世帯数減少社会の到来、大規模災害への備えといった社会経済情勢の変化を踏まえ、①多様化する居住ニーズへの対応②住宅セーフティネットの充実③良質で適正な住宅ストックの形成④災害への備え⑤地域の課題への対応⑥連携・協働による推進ーを目標に掲げた。

 これらの目標を定量化する指標として、25年度時点に於ける公営住宅のバリアフリー化率を35%(20年度は28.3%)、既存住宅の流通戸数を2500戸(同1516戸)、空家等対策計画を策定した市町村数の割合を80%(同53.8%)、総新設着工戸数に対する木造の割合を75%(19年度は69.9%)と設定する。

 基幹事業のうち公営住宅等整備事業は、計画期間中に1703戸(事業費117億2800万円)を実施する。住宅のセーフティネットとしての役割を持つ公営住宅に関して、計画的な整備や建替を行い、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定と社会福祉の増進に寄与する。事業の実施に際しては、PFI等を活用した整備も検討する。

 公営住宅等整備事業の内訳(事業費)は、宮崎県が1188戸(44億8900万円)、宮崎市が70戸(17億9800万円)、都城市が130戸(22億2700万円)、日南市が147戸(12億0100万円)、小林市が16戸(4億0100万円)、串間市が104戸(5億7300万円)、門川町が40戸(9億9600万円)などとなっている。

 また、良質な公営住宅等の効率的な供給の促進を目的として、居住性の向上や高齢者・障がい害者等への対応、安全性の向上、建物の長寿命化等のために必要な改善・更新を行う公営住宅等ストック総合改善事業は、宮崎県及び17市町村の合計8549戸(事業費107億3800万円)を対象に実施する見通し。

 対象戸数が最も多いのは宮崎県の3183戸(38億1800万円)で、宮崎市の2724戸(15億9300万円)、延岡市の1018戸(11億3800万円)、都城市の376戸(10億3000万円)、日向市の318戸(6億7500万円)、串間市の150戸(5億2700万円)、川南町の150戸(5400万円)がつづく。

 このほか、民間事業者等が行う高齢者・障がい者・子育て世帯向けの良質な民間賃貸住宅の整備を助成する地域優良賃貸住宅整備事業は、五ヶ瀬町(規模6戸・事業費1億2200万円)で実施する予定。家賃減額に要する費用を助成する公的賃貸住宅家賃低廉化事業、住宅新築資金等貸付、空き家再生等推進事業にも取り組む。

 一方、事業主体からの提案事業では、公営住宅等整備事業等に関連した住環境の向上を図る公営住宅等住環境向上事業を宮崎県が実施(2億7100万円)。国富町や綾町、椎葉村、美郷町では、若者の定住促進のための住宅整備や民間賃貸住宅の家賃の一部を助成する定住促進事業(2億8600万円)に取り組む。

 宮崎県は、住生活基本計画やマスタープラン等の策定・改訂といった計画等策定事業(2600万円)、県産材を活用する団体に対する取組支援といった木造住宅普及促進事業(2200万円)も実施する。公営住宅等整備事業等と一体で駐車場を整備する公営住宅等駐車場整備事業(3100万円)は、宮崎県と宮崎市が取り組む。