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河川・砂防対策など推進 県内河川の流域治水PJ

 国土交通省の県内出先機関や宮崎県、関係自治体らで組織する協議会は、県内の4つの一級河川を対象とした「流域治水プロジェクト」を公表した。国による河川整備だけでなく、自治体による災害に強いまちづくりへの誘導、企業等による雨水貯留施設の整備など、流域の幅広い関係者による、一体となったハード・ソフト対策を推進する。

 流域治水プロジェクトは、▽氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策▽被害対象を減少させるための対策▽被害の軽減、早期復旧・復興のための対策―の3つの観点から、対策の主体を明確化したもの。短期(おおむね5年間)、中期(10~15年間)、中長期(20~30年間)のロードマップのほか、プロジェクトで想定される事業費も示した。

 大淀川水系では、上流部と下流部に人口や資産が集中する市街部を貫流し、氾濫した際に被害が甚大となる洪水特性を有することから、短期では、下流部の河道掘削や上流部の遊水地整備を行い、治水安全度の向上を図る。中期では、中流部の掘削や下流部の遊水地整備のほか、支川築堤や岩瀬ダム再生事業等で安全度の向上を図る。

 中長期では、上下流のバランスを踏まえながら、上流部の引堤や遊水地整備、堰改築等を行うとともに、雨水浸透・雨水貯留施設の設置促進による内水氾濫対策や避難体制の強化を進め、流域内の被害軽減を目指す。これらの対策に係る事業費は、河川対策が約1183億円、砂防対策が約100億円、下水道対策が約69億円を見込む。

 小丸川水系では、主要洪水の約9割が台風性であり、急流部を一気に流下した洪水が氾濫すると、被害が甚大となる洪水特性を有することから、短期では、河道掘削による流下能力の向上、下流部の総合内水対策(排水機場整備・災害危険区域指定)を実施するとともに、県管理区間に危機管理型水位計や簡易型河川監視カメラを設置する。

 中・長期では、堤防整備及び水衝部対策等を実施し、治水安全度の向上を図るとともに、家屋の耐水化、嵩上げ等による住まい方の工夫促進、内水被害軽減対策、防災学習の推進・自主防災組織の結成と積極的活動等のソフト対策を実施し、流域内の被害軽減を目指す。事業費は、河川対策が約28億円、砂防対策が約2億円を見込む。

 五ヶ瀬川水系では、令和元年東日本台風で戦後最大を超える洪水により、甚大な被害が発生したことを踏まえ、短期では、下流域で河道掘削を実施するとともに、祝子川における堤防整備並びに防災ステーション整備の進捗を図る。県管理区間においても、河道掘削や祝子川における堤防整備・河道掘削、砂防堰堤の整備を進める。

 合わせて、内水氾濫対策としてのポンプ場の改築・耐水化等を実施するとともに、多機関連携タイムラインの運用や水害リスク空白域の解消、防災VRを活用した住民の防災意識の醸成を図る。

 中期では、築堤や河道掘削及び防災ステーションの整備、祝子川の築堤・護岸、河道掘削、橋梁掛け替え、ポンプ場整備を実施。中長期では、適正分派に関わる築堤、河道掘削及び河口処理を実施し、流域内の治水安全度向上を図る。事業費は、河川対策が約80億円、砂防対策が約90億円、下水道対策が約20億円を見込む。

 五ヶ瀬川同様、東日本台風で甚大な被害が発生した川内川水系では、短期で、鶴田ダム下流の引堤事業等を実施するとともに、鶴田ダム上流で水位低下を目的とした河道掘削等を主に実施。河床低下対策を継続するとともに、洪水流の阻害となっている下方井堰の改築に取り組むほか、県管理区間の河道掘削や橋梁架替等を実施する。

 中期では、鶴田ダム下流で氾濫を防ぐための堤防整備等を実施するほか、鶴田ダム上流で水位低下を目的とした河道掘削・橋梁改築等を実施する。中長期では、薩摩川内市~鶴田ダム区間での流下能力解消のため、水位低下を目的とした河道掘削等を実施する。事業費は、河川対策が約272億円、砂防対策が約8億円を見込む。