国土交通省九州地方整備局川内川河川事務所は、2021年度の事業概要を明らかにした。薩摩川内市街部の引堤事業や川内川高潮対策事業、えびの地区河床低下対策事業のほか、洪水による浸水被害の軽減を図るための河道掘削事業等を推進する。
川内川河川事務所の21年度当初予算に於ける事業費は、工事諸費や維持修繕費を除く河川改修費が約18.0億円、河川工作物応急対策事業費が約3.6億円、総合水系環境整備事業費が約1.6億円。総額は約23.3億円で、前年比29%の増額となった。
これとは別に、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に伴う21年度事業費として、20年度補正予算で河川改修費に約43.2億円を計上している。
河川改修事業では、薩摩川内市街部の治水安全度向上のため、天辰第二地区まちづくり一体型引堤事業を継続。20年度に着手した堤防整備(引堤)を継続して実施するとともに、土地区画整理事業と連携・調整を図りながら、用地取得を促進する。
19年度に着手した川内川高潮対策事業では、川内川河口部に位置する船間島・久見崎地区で台風通過時に海水が越波し、工場倉庫等の冠水及び市道の路面損傷等の被害が発生しているため、堤防高さが不足している箇所の嵩上げなどに取り組む。
さつま町二渡地区の堤防強化事業では、雨水や洪水が河川堤防に浸透することで脆弱化や侵食等が懸念される箇所に於いて、ドレーン工や断面拡幅といった堤防強化対策を実施。湧水町の植村地区においても、同様の堤防強化事業に取り組む。
洪水による浸水被害の軽減を図るための河道掘削事業は、川内川の伊佐市菱刈地区、同じく湧水町栗野地区、川内川支流の羽月川(伊佐市堂崎地区外)で実施。対象区域に於ける河道掘削・樹木伐採を促進し、治水安全度の向上を図る。
河床低下が進む川内川上流部のえびの地区では、護岸や堤防、床固め等の河川管理施設への影響が懸念されているため、12年度から河床低下対策として、河床に巨石等を敷並べる工事に着手。21年度も河床低下対策工事を推進する。
一方、維持修繕や河川工作物応急対策関連事業では、河川管理施設の老朽朽化に伴う修繕を実施するとともに、機能維持を図るため湯之尾堰の設備修繕等を実施。樋門樋管の更新と合わせて、無動力で開閉可能なフラップゲート化を推進する。
また、総合水系環境整備事業では、川内川水系かわまちづくり計画に基づき、薩摩川内市街部の高水敷整正や管理用通路等の整備を実施。薩摩川内市街部の大小路地区では、引堤事業の進捗に合わせて、高水敷整正や管理用通路等の整備を実施する。