本県のえびの市と隣接する鹿児島県の湧水町は共同で、「自転車を活用したまちづくり推進計画」の素案をまとめた。計画期間は2021~23年度までの3年間。自転車を活用した観光振興と地域の活性化を目標に掲げ、両市町の全域を対象に、サイクリングと観光を組み合わせた「サイクルツーリズム」の推進に取り組む。
素案では、両市町に於ける自転車利用環境の現状や課題等を踏まえ、自転車を活用したまちづくりを推進するための基本目標や基本方針を設定。国内外からの旅行者に対する新たな体験型観光として、「サイクルツーリズム」を重点的に推進するとともに、地域の魅力を掘り起こし、広く発信することで、地域活性化につなげる。
具体的には、サイクリング環境を創出するため、えびの市と湧水町を繋ぐ片道約35㎞の川内川上流堤防ルートを「モデルルート(基幹ルート)」に設定。モデルルートや道の駅等の拠点施設から観光地等の地域資源をつなぐ10箇所のルートを「地域ルート」に設定し、サイクルツーリズムによる観光地の回遊性の向上を図る。
これらの計画ルートを自転車が安全・快適に通行できるよう、自転車走行環境の整備に取り組む。自転車と自動車を混在通行とする「車道混在型」を原則とすることから、矢羽根型路面表示やピクトグラム、案内標識等を設置し、自転車利用者に車道通行を視覚的に誘導するとともに、自動車運転者に対しても注意喚起を行う。
川内川の堤防ルートを主軸とするモデルルートは、大部分を国土交通省が管理しているため、ルートの整備にあたっては、管理者と利用方法等を協議しながら、必要な整備を行う。行き止まりによる不連続箇所を解消するための橋梁等の設置や、見通しが悪い橋梁との交差箇所へのアンダーパス等の設置も検討する。
一方、自歩道や車道、国県市町道が混在する地域ルートでは、矢羽根型路面表示の設置や段差解消及び平坦性確保のための舗装補修、未改良道路の整備、案内標識及び路面表示(観光地までの案内・ピクトグラム等)の設置などを実施する。
これらの計画ルートの整備に関して、広域での取組を推進するために最も重要な路線であるモデルルートは最優先で整備を行い、地域ルートについては▽初心者や一般観光客の利用しやすさ▽地域住民の認知度向上▽自転車関連施策以外との整合性ーといった基準項目を考慮して、整備の優先順位を決定する。
サイクリストを受け入れるための環境整備として、拠点施設の拡充や立ち寄り・休憩ポイント(サイクルラック等設置箇所)の整備、レンタサイクルサービスの充実を図る。また、自転車を活用したイベントの開催や滞在型コンテンツの造成、広域サイクリングマップの作成、情報発信の仕組みづくりとプロモーションにも取り組む。
サイクルツーリズムを推進する上で、住民と自転車利用者の安全意識の啓発も行う。自転車は車道左側通行が原則であることを、全ての道路利用者が理解し、実践できるよう、全世代を対象として交通安全教室の充実を図るとともに、関係機関等と連携しながら、自転車の交通ルールを周知・啓発する。