政府は3月9日、ドローンの機体認証制度と技能証明制度(操縦ライセンス)を導入する航空法改正案を閣議決定した。機体認証を受けたドローンをライセンス保有者が操縦する場合、これまで認めていなかったレベル4(有人地帯の目視外飛行)のドローンの飛行を認める。これまで飛行可能だった区域でも、機体認証を受けたドローンをライセンス保有者が操縦すれば、許可・承認が不要になる。
航空法では、2015年に許可・承認制度、20年に所有者と使用者の登録制度を創設するなど、ドローンの飛行環境を段階的に整備している。ただ、飛行を認めているのは、レベル1(目視内での操縦飛行)、レベル2(目視内の自動・自律飛行)、レベル3(無人地帯の目視外飛行)までで、レベル4(有人地帯の目視外飛行)の飛行は認めていない。
改正法では、22年度にレベル4での飛行を実現するため、機体の安全性に関する認証制度(機体認証)と操縦者の技能に関する証明制度(操縦ライセンス)を整える。合わせて、厳格に飛行の安全性を確保する運航管理ルールを法令で明確にする。
技能証明制度では、国が学科・実地試験を行って操縦者の操縦技能を担保。機体の種類・飛行方法に応じて操縦範囲を限定する。国の指定を受けた民間試験機関が試験事務を実施できるようにする他、民間講習機関が実施する講習の修了者は試験の一部、または全てを免除される。技能証明の有効期間は3年。
インフラの測量や点検へのドローン活用は、大半がレベル4に該当しないため、レベル1~3で操縦ライセンスを取得し、機体認証を受ける必要はない。ただし、認証を受けた機体をライセンス保有者が操縦する場合には、国土交通省の飛行許可・承認が原則として不要になる。