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高千穂~雲海橋交差点、直轄調査の結果まとめ 国交省

 国土交通省九州地方整備局延岡河川国道事務所は、九州横断自動車道延岡線(高千穂~雲海橋交差点)における直轄調査結果をまとめた。当該地域の地質が脆弱であり、トンネルや擁壁が高い土圧で破壊される可能性があることから、「設計や施工方法の選定、施工管理に高度な技術力を活用することで事業実施が可能」と結論付けた。

 高千穂~雲海橋交差点は、事業中の五ヶ瀬高千穂道路の終点にあたる高千穂IC(仮称)と、同じく事業中の高千穂日之影道路の起点にあたる雲海橋交差点を結ぶ延長3.3㎞の区間。当該区間は、平面・縦断線形が厳しい箇所が連続するなど、走行性が低い上に、死傷事故率が高く、事故による通行止めなど信頼性が低い状況にある。

 また、当該区間を含む五ヶ瀬町から県立延岡病院への救急搬送は、高速道路ネットワークのミッシングリンクにより60分圏域外(約73分)となっており、搬送時間を要している。ほか、建設後50年を超える雲海橋は、大規模災害の発生時に通行止めのリスクが高く、代替路もないことから、広域迂回が発生するなどの課題を抱える。

 こういった課題を踏まえ、調査結果では、当該路線に求められる機能として、①災害時にも機能する信頼性の高いネットワークの確保②救急医療施設への速達性、走行性の向上③速達性・安全性の向上による雇用・定住の促進④回遊性の向上による広域的な観光振興の支援⑤走行性、速達性向上による産業活動の支援ーの5項目を提示した。

 一方で、当該地域には特に脆弱な地質である蛇紋岩が存在し、吸水膨張する性質があり、切土による応力開放や浸水によって強度が低下したり、トンネルや擁壁が高い土圧によって破壊する可能性がある。また、当該地区周辺に存在する緑色岩は、自己変成作用により蛇紋岩化する可能性がある地質となっている。

 こうした技術的な課題を踏まえ、調査結果では「トンネル内空変位測定、モニタリング、補助工法による対策など、設計や施工方法の選定、施工管理に高度な技術力を活用することにより事業実施が可能となる」とした。