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コロナ、強靱化対策など推進 宮崎県の21年度当初予算案

 宮崎県は2月10日、一般会計予算額を約6255億円とする2021年度当初予算案の概要を発表した。一般会計のうち、普通建設事業費と災害復旧事業費で構成する投資的経費は約1082億円。防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の終了等に伴い、前年比で約231億円(17.6%)の減額となるが、同日に発表した20年度補正予算案に次期対策の初年度分などとして公共事業費347億円を盛り込んでおり、補正予算と当初予算を合わせた実質額は、前年比で約3%の微減にとどまる。

 当初予算案では、新型コロナウイルス感染症やこれに伴う社会不安、激甚化する自然災害に対して、県民の安心を確保するための「安心」の基盤づくりを推進するとともに、県民の心のつながりを深め、宮崎に関わる人々や地域との結びつきを強める「つながり」の再構築を図る。また、「ポストコロナ」への挑戦として、コロナ禍で顕在化した様々な困難や課題について、本県の新たな成長に繋げる取り組みを推進する。

 予算案の編成に際しては、新型コロナ感染症の第3波への対応や経済対策、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を切れ目なく講じるため、国の15か月予算と連動し、20年度2月補正予算と一体的に編成。

 また、人口減少をはじめ、本県が直面する課題に適確に対応するため、基金等の財源を活用し、21年度の重点施策に掲げる「コロナ危機の克服と新たな成長の基盤づくり」「将来を支える人財づくり」「地域経済をけん引する産業づくり」「魅力あふれる「選ばれる」地域づくり」を推進する。

 一方で、国庫補助や地方創生臨時交付金、地方財政措置のある有利な地方債の活用など、必要な財源確保に努めるとともに、将来にわたる負担の平準化を図るため、計画的な予算計上を行い、健全な財政運営を確保する。

 これを踏まえた当初予算案の一般会計予算額は、前年比127億1700万円増(2.1%増)の6255億0500万円。特別会計は、公債管理特別会計の減額等に伴い、同8.9%減の2065億2768万円。公営企業会計は、県立病院事業会計の増額等に伴い、同11.9%増の711億1700万円となった。

 一般会計の歳出予算を性質別に見ると、人件費や公債費が減少した義務的経費は同0.2%減の2455億9542万円。投資的経費は、3か年緊急対策の終了や総合運動公園津波避難施設等の単独事業費の減額等に伴い、同17.6%減の1082億1104万円となった。物件費や補助費、貸付金等が増えた一般行政経費は、同15.4%増の2716億9853万円。

 投資的経費の内訳は、普通建設事業費が928億3592万円(同19.9%減)、災害復旧事業費が前年度と同額の153億7512万円。普通建設事業費の内訳は、▽補助事業611億0036万円(同20.0%減)▽単独事業250億4132万円(同13.6%減)▽直轄事業負担金66億9423万円(同36.6%減)―となった。

 一方、特別会計では、公共用地取得事業に6億9114万円(同3.2%増)、港湾整備事業に13億1294万円(同74.6%増)を計上。公営企業会計では、電気事業に110億7402万円(同32.8%増)、工業用水道事業に5億8081万円(同14.5%減)、県立病院事業に594億2349万円(同9.0%増)を計上した。

 このほか、ゼロ予算施策(知恵と工夫による改善の取組)では、民間企業等との協定に基づく連携・協力の取り組みや情報発信の充実、県が所管する制度及び体制等の改善、窓口サービスの充実、県有施設の有効活用・開放などを通じて、新たな予算を伴わずに県民サービスの向上に資する施策の積極的な推進を図る。

■強靱化対策、補正含め378億

 宮崎県の21年度当初予算案では、「感染拡大防止と地域医療の確保、地域経済の再生に向けた対策」として、59の事業に約203億円を計上する。国の交付金等を活用し、新型コロナから県民の命と健康を守り、暮らしを支える取り組みを推進するとともに、ポストコロナを見据え、本県の新たな成長に繋げる取り組みを展開する。

 PCR検査体制の強化など感染拡大防止等を徹底するとともに、病床確保など医療提供体制の充実・強化を図るための17事業に約179億円を計上。生活困窮者への支援や相談体制を強化する13事業に約4億円、地域経済の再生や応援消費に関する5事業に約6億円、本県の新たな成長に繋げる24事業に約14億円を充てる。

 21年度を初年度とする防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策では、20年度2月補正予算案に約319億円(補助事業287億円、直轄事業負担金32億円)、当初予算案に県単事業として59億円をそれぞれ計上。激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策や予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策を講じるとともに、施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進を図る。

 具体的には、災害に強い道路ネットワークの構築や橋梁・ため池等のインフラ老朽化対策、河川・利水ダム等の流域治水対策、港湾及び漁港施設の地震・津波対策、山地災害危険地区等における治山・森林整備に重点的に取り組む。

 また、人口減少によって生じる課題を克服し、将来にわたって活力が維持される地域づくりを進めるため、人口減少対策基金(基金総額30億円)などを活用し、社会減・自然減対策による人口減少の抑制や、本県の未来を支える人財の育成・確保に関する取り組みを加速させる。事業規模は146事業で約68億円。

 コロナ禍で顕在化・加速化した課題に対応するため、21年度を「みやざきデジタル化元年」と位置付け、県民一人ひとりがデジタル化の恩恵(安全・安心・豊かさ)を実感できる社会を目指す。デジタル・ガバメントの確立やくらし・産業のイノベーション、デジタル人材・基盤の充実に関連する36事業に約17億円を計上する。

 21年度に開催される「国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭」、27年度に開催される「国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会」に向けて、各種事業や施設整備、競技力の向上等を推進する。国民スポーツ大会事業に約21億円を計上し、陸上競技場の造成工事や体育館の建築工事、PFIによるプール整備等を進める。