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文化ホール周辺に統合新設校 川南町中学校再編計画案

 少子化の進展に伴い学校規模の適正化が求められる中、川南町は新しい時代に対応した中学校再編計画案をまとめた。唐瀬原中学校と国光原中学校を統合に向けて、学識経験者らでつくる学校規模適正化審議会が審議を実施。新設中学校の候補地に関して、「サンA川南文化ホール(トロントロンドーム)東側周辺が望ましい」とする答申をまとめた。

 将来的な児童生徒数の減少が見込まれることなどを踏まえ、町は2016年に学校規模の適正化に係る座談会を開催。町民の意見を集約するとともに、保護者に学校再編に関するアンケートを行った。19年3月には、教育委員会が学校規模適正化審議会に中学校の統合を諮問。「中学校の統廃合はやむを得ない」との答申を得た。

 こうした経緯を踏まえ、町は今年5月~8月に5回開かれた学校規模適正化審議会に、中学校の統合に係る基本方針案や立地適正化計画、新中学校の整備方針、各中学校に他方の中学校を統合した場合と、新設中学校を設置する場合のコスト比較などを提示。審議会で慎重に議論を重ね、今年8月に教育委員会へ答申書を提出した。

 新中学校の整備方針に関しては町は、両校の現況や課題を踏まえ、早急に教育環境改善に着手する必要性を指摘。新中学校の学級数は全15学級程度(各学年4クラス、特別支援学級3クラス)を想定し、「学びを保障し活動しやすい快適な学校施設、十分な校地」「安全・環境・防災に配慮した施設」「地域に開かれた施設」を実現するとした。

 具体的には、ICT教育やプログラミング教育、プレゼンテーション力を育むことができる最新の施設・設備を整備するとともに、全ての生徒が利用しやすく、町民にも活用される学校とするため、ユニバーサルデザインやバリアフリーに配慮した設備を整備。校舎自体が教材であるとの視点に立ち、県産材を多用したつくりを取り入れる。

 また、未来へ受け継がれる地域社会の財産を永く使い続けるため、十分な耐久性・耐震性能をもった構造を採用するとともに、不審者の侵入防止や犯罪防止の観点から、防犯設備の設置を検討。環境に配慮したエコスクールとして、太陽光発電やLED照明機器の導入、屋根、壁の高断熱化及び屋上、壁面、ベランダ等の緑化等も検討する。

 一方、新中学校の候補地に関しては、生徒にとっての教育環境が整っていることから、サンA川南文化ホール・町立図書館東側が妥当と審議会が答申。この場合の総敷地面積は1万4000m2で、図書館東側のふるさと総合文化公園には、3階建の新校舎(6370m2程度)と200mトラック6レーンの運動場(8200m2程度)を整備する。

 校舎には各教室や特別教室、外国語教室、少人数教室、図書館、交流室、教育相談室、スロープやエレベーターを設置し、地域防災拠点としての機能を持ち合わせた施設を目指す。一方、町立図書館近くに新設を計画する体育館の面積は2000m2程度。25mプールや武道場、卓球場等の複合施設にする予定で、町民にも開放する。

 審議会で町が示したコスト試算によると、新設中に統合した場合の建設事業費は概算で約36億円。内訳は、校舎が約20億円、屋内運動場が約10億円、プールが約3億円、屋外運動場が約9000万円、駐輪場・駐車場が約8000万円など。整備に際しては、国土交通省及び文部科学省の補助金の活用を見込んでいる。

 審議会の答申では、新設地は国が定める中学校設置基準の面積はクリアしているが、現在の唐瀬原中学校と比べて運動場の面積が3分の1強になることから、部活動に於ける安全面の配慮を要請。面積を拡張するか、運動公園の各施設を利用できる手立てを講じるとともに、通学距離が遠くなることに対する環境整備に取り組むよう求めた。

 審議会から答申書が提出されたことを踏まえ、町は10月17日と11月7日に新中学校に関する町民説明会を開催。これまでに行った町民アンケートの結果や審議会の答申書の内容、新中学校の基本方針等を説明した。説明動画は川南町公式YouTubeで視聴できる。新設中学校は2026年4月1日の開校を予定している。