宮崎市は、2022年3月末で廃止する「介護老人保健施設さざんか苑」の施設や跡地に関して、庁内での有効活用を検討する方針を示した。民間事業者を対象に実施したサウンディング型市場調査で、民間譲渡の実現可能性が極めて低いことが確認されたため、現在保有する50人の定員枠と合わせて、廃止後の有効活用を検討する。
当該施設(宮崎市田野町南原1丁目6番地2)は、1991年4月に田野町老人保健施設さざんか苑として開設。06年1月に宮崎市介護老人保健施設さざんか苑となり、15年4月から指定管理者制度を導入した。制度導入で収支改善がみられたものの、経営改善に限界があり、民間代替性が高いことから22年3月末で廃止する。
廃止後の事業化の可能性を検討するため、市は今年8月に県内の民間事業者を対象としたサウンディング型市場調査を実施。11月には国土交通省が主催する「中国・四国・九州沖縄ブロックプラットフォームサウンディング型市場調査」に参加し、全国展開している事業者と対話を行うとともに、このうちの1者と個別対話も行った。
対話では、田野地域には類似施設が多く、厳しい競争環境にあることや、老健事業の参入希望事業者が少ないことから、田野地域での高齢者施設の事業化は難しいといった意見が寄せられたという。また、老朽化に加え、多床室である構造上の問題から、既存施設の活用を前提とした民間譲渡の実現可能性も低いという指摘もあった。
市では、これまでに行った全ての調査で同様の意見が寄せられたことから「宮崎市介護老人保健施設さざんか苑」の民間譲渡の実現可能性は極めて低いと判断。今後は庁内での有効活用を検討する。なお、現在さざんか苑が保有する50人の定員枠についても、今後、関係部局と協議を行い、その有効活用を検討するとした。