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設計・積算などテーマに県と意見交換 宮崎県法面保護協会

      

▲写真は挨拶する工藤会長、小倉所長、意見交換の模様

 一般社団法人宮崎県法面保護協会(工藤勝利会長)は11月2日、宮崎市内で西臼杵支庁及び各土木事務所との意見交換会を開催した。出席した会員企業の代表らが、総合評価落札方式を含む入札制度や工事検査のほか、急傾斜地工事の不調・不落の要因の一つとなっている積算や設計、特記仕様書への記載などについて意見を交わした。

 新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、例年、県北地区と県央・県南・県西地区の2箇所で開催している意見交換会を合同形式で開催したもの。県からは西臼杵支庁及び各土木事務所の所長・次長・担当課長ら26人、協会からは会員企業の代表や技術担当者ら34人が参加した。

 冒頭、挨拶に立った工藤会長は、建設業界の喫緊の課題である人手不足について言及。「新卒者だけでなく、中途採用も応募がないため、技術者も職員も育成できていない」と厳しい現状を説明。受発注者が互いに協力し合うこ必要性を強調し、「意見交換を通じて、課題解決に向けた糸口をつかめれば」と期待を込めた。

 県側を代表して挨拶した宮崎土木事務所の小倉弘康所長は、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の実施状況を説明するとともに、人手不足や下請業者の確保を背景に、法面工事で不調・不落が増えていることを説明。「発注形式や発注規模、余裕期間など、許される範囲で情報共有と意見交換を行いたい」と述べた。

 意見交換では、柳橋恒久氏がコーディネーターを務め、事前に準備していた▽入札制度▽設計・積算▽現場での施工技術▽工事検査▽その他―の各テーマに基づく11項目について協会が提案。入札制度に関しては、他の入札案件と技術者が重なっているケースを想定し、総合評価落札方式の評価値を開札と同時に提示してらもうよう求めた。

 設計・積算に関しては、仮設防護柵設置の土留め材料費を標準単価の損料で積算した場合、設計単価と実勢単価に大きな開きが生じることから、土留め木材について損料率の見直しを行い、現場までの運搬費や加工費等も別途見積り計上してもらうよう提案。立木伐採についても、現場の実態に応じて見積り積算をしてもらうよう求めた。

 また、急傾斜地工事では搬入道路や資材ヤードが狭小であるケースが多く、仮置きした資材を再度、小型車で積込・運搬する手間が生じていることを説明。十分な事前調査や三者協議を行い、現場条件にあった適切な設計を提案するとともに、仮置きに伴う再度の積込・運搬等が発生した場合に、設計変更で対応してもらうよう求めた。

 こういった提案に対して県側は、事前の積算・設計が実際の現場の実態と大きく乖離しているなどの不具合が生じた場合は、監督員と協議の上、見積りを活用してもらうよう呼び掛けたほか、必要に応じて三者協議も推進していく考えを示した。

 他方、遠方の管外事務所から見積り依頼が届くケースに対しては、特殊な工法を除き、現場調査等に容易に行くことができる管内の業者に依頼してもらうよう提案。工事成績評定通知書に係る創意工夫の評価に関しては、技術者のモチベーションアップや他の現場での横展開を想定し、詳細な評価を記入してもらうよう求めた。

 働き方改革の推進に関しては、週休2日工事の現状や課題について意見を交換。設計工期と現場で必要な工期が食い違うケースが見受けられるとともに、新型コロナウイルスの影響で材料や作業員の確保が困難になる恐れがあることから、実工程に見合った工期設定や発注時期の検討、繰り越しを前提とした発注を求めた。

 会議ではこのほか、事前に行った会員アンケートの結果を踏まえたフリートークとして、材料価格の地域差を踏まえた市場単価の積算の見直し、高圧線等が現場に近接する場合の防護カバーの設置経費、主任技術者や専門の技能者集団を効率的に現場に配置するための発注規模などについても意見を交わした。