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河川改修事業など再評価を実施 五ヶ瀬川学識者懇談会

 国土交通省九州地方整備局延岡河川国道事務所は、11月19日に延岡市内で五ヶ瀬川学識者懇談会(杉尾哲委員長=宮崎大学名誉教授)を開催した。会合では、「五ヶ瀬川直轄河川改修事業」及び「五ヶ瀬川総合水系環境整備事業」の再評価を行い、いずれも同事務所が示した対応方針の原案どおり、事業を継続することを委員が了承した。

 学識者懇談会は、2008年策定の五ヶ瀬川水系河川整備計画に関して、計画内容の点検を継続的に実施するとともに、計画変更の必要性が生じた場合に変更原案に対して意見を聞くために設置しているもの。また、九州地方整備局が設置する監視委員会に代わって、事業の継続や見直しといった再評価、事後評価に関する審議も行う。

 会合ではまず、五ヶ瀬川水系河川整備計画の点検について審議を実施。大規模な災害が各地で頻発し、河川改修事業の必要性が増していることや、かわまちづくりの取り組み等に伴い、河川沿川の利活用による賑わいの創出がみられることを踏まえ、引き続き、現行の河川整備計画に基づき、河川整備を実施していくことを確認した。

 これを踏まえた五ヶ瀬川直轄河川改修事業の再評価では、五ヶ瀬川・大瀬川の分派対策として約61億円、河川防災ステーションなどの防災関連施設の整備費として約14億円、消費税の変更に伴う事業費として約8億円をそれぞれ追加することを事務局が説明した。事業費の総額は、前回から約83億円増えて約378億円となる。

 このうち、五ヶ瀬川・大瀬川の分派点で洪水を適正かつ安全に分派する対策に関しては、技術検討会での複数案の検討や模型実験による水利解析の結果を踏まえ、対策方法を自然分派方式とすることを決定。検討会での検討成果や、詳細設計で法線・縦横断が固まったことに伴い、変更後の事業費を約69億円(前回は約8億円)と算定した。

 現時点の整備メニューは、岩熊大橋付近~南方古墳群付近の約1.3㎞で、既設堤防を堤内地側に最大で40m程度移動させる引堤等を計画。これに伴う築堤や道路整備、用水路の付け替えに取り組む。このほか、▽樋門・樋管4基▽サイフォン・分水工1基▽河道掘削約60万m3▽用地買収▽家屋移転―などを行う予定でいる。

 また、河川整備計画に位置付けられている防災関連施設に関しては、17年に天下地区河川防災ステーション整備計画が承認されたことから、災害時の緊急復旧に必要な資材置場、災害対策車車庫、水防センター及びヘリポートの整備を行う。17年度から測量設計、用地買収、地盤改良、盛土工などを実施している。

 直轄河川改修事業で当面(22~26年度)実施する整備に関しては、五ヶ瀬川・大瀬川の洪水適正分派対策のほか、地震・津波対策や防災関連施設、住民避難に活用できる堤防整備を挙げる。27年度以降も、五ヶ瀬川・大瀬川の洪水適正分派対策を継続するとともに、五ヶ瀬川河口処理対策を実施する予定でいる。

 一方、五ヶ瀬川総合水系環境整備事業の再評価では、五ヶ瀬川かわまちづくりの変更計画で、恒富地区が対象に追加されたことから、事業費3.9億円を追加。同地区を(仮称)歴史・環境学習ゾーンと位置付け、高水敷整正や護岸整備、緩傾斜化、管理用通路の整備を行うとともに、整備済区域のモニタリング調査等を継続する。

 会合ではこのほか、五ヶ瀬川水系河川整備基本方針の変更内容についても説明。気候変動による影響を考慮した全国初の見直しとして、将来の降雨量の増加を見込み、基本高水のピーク流量を2割増し(7200m3→8700m3)で設定したことや、アユの産卵場保全等を考慮した河川整備、霞堤の保全に努めることなどを報告した。