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女性の視点で建設を伝える 都城地区建協女性部が研修会

      

▲写真は講師を務めた松永氏、研修会、ショーの模様

 都城地区建設業協会女性部(宮島百合子部長)は11月12日、都城市内で2021年度の研修会を開催した。建設産業に関する知識の向上や部員間の親睦・交流を目的として開催しているもの。「噂の土木応援チーム・デミーとマツ」の松永昭吾氏を講師に招き、「女性の視点で建設の価値と使命を伝える」をテーマに講演した。

 講師の松永氏は、橋梁の設計・維持管理や災害調査・復旧計画を専門とする土木技術者、研究者。同じく土木技術者で博士の出水享氏と2016年に「デミ―とマツ」を結成し、土木の役割や大切さを子ども達に伝える体験型イベントを各地で開催している。両氏の活動は、18年から2年連続で土木学会の土木広報大賞を受賞した。

 講演で松永氏は、「土木はやさしさをカタチにする仕事」であることを説明。我が国が、水道を通じて衛生的な水が手に入る数少ない国の一つであることを例に、社会資本の整備・維持管理や災害対応といった重責を担う建設業の使命を踏まえ、「建設業がカタチにしていかなければ社会生活は成り立たない」とその重要性を強調した。

 デミーとマツが各地で開催している子ども向けの体験型イベントについては、建設業や大人に憧れを持たせることに重点を置いていることを説明。子どもの様子を取材に来る各種メディアや、保護者が発信するSNSをフルに活用して広く情報を発信することも含めて、これらが建設産業の将来の担い手の確保につながると指摘した。

 一方で、近年の地震や豪雨といった自然災害で多くの尊い人命・財産が奪われている現状を踏まえ、新しい国土利用やライフスタイルの創出、まちの再配置といった転換期にあることを説明。「自然には勝てない。でも負けたくない。負けられない」とした上で、「歴史や自然を知ることで、土木の力で命は守れる」と強調した。

 具体的な事例として、2011年の東日本大震災で被害を最小限に抑えた「吉浜の奇跡」「普代水門の奇跡」を紹介。目の前の命、未来の命と向き合うために、土木の価値と使命を正しく伝えていくことが大切であり、「女性の視点で土木がカタチにするやさしさを社会に実装していくことを考えてもらいたい」と呼び掛けた。

■モデルは女性部員、作業服ショー

 松永昭吾氏の講演終了後には、会場を移して、建設現場で働く女性の思いを形にした“新しすぎる”作業服のファッションショーも行われた。都城地区建設業協会女性部の部員がモデルを務め、地元の高校生がデザインした女性作業服を身に付けてランウェイを歩き、観覧した他の部員や松永氏が大きな拍手を贈った。

 ショーで披露された女性作業服10点は、県立高城高等学校及び県立飯野高等学校の生徒がデザインし、パタンナーや縫製職人の協力を得て、2018年に完成させたもの。デザイン画の選別には、小林市出身の世界的デザイナー・鳥丸軍雪氏が協力した。

 作業服は、白のつなぎの襟や袖に赤のポイントをあしらったもの、青のトップスに格子状のラインが入った白のニッカポッカを合わせたもの、サスペンダーや花柄、リボンでかわいらしさを表現したもの、迷彩柄で力強さを表現したものなど様々。多数のポケットを付けるなどして、建設現場での作業も意識している。

 宮島部長が会長を務める宮崎県建設業協会女性の会では、作業服が完成した18年と19年に都城市立図書館や宮崎市の大型商業施設で一般向けのファッションショーしており、好評を得ていた。宮島部長は「若い女性が建設業に進んで入職し、誰もがいきいきと働くことができる建設業界を皆でつくっていきたい」と話す。