林野庁九州森林管理局は、2022~31年度までの10箇年を計画期間とする「一ツ瀬川国有林の地域別の森林計画書案(一ツ瀬川森林計画区)」をまとめた。西都市及び児湯郡を包括する1市5町1村の国有林(2万6560㌶)を対象に、地域の特性や気候変動の影響を踏まえつつ、林業専用道の開設・改良や治山事業に取り組む。
国有林における地域別の森林計画は、長期的な視点に立った計画的かつ適切な森林の取扱いを推進するため、該当する森林計画区における国有林野及び公有林等官行造林地の整備や保全に関する基本的な事項を定めたもの。森林法の規定に基づき、全国森林計画に即して森林管理局長が5年ごとに10年を1期として策定する。
前計画の直近5箇年の実行結果によると、木材供給等に対する地域のニーズを踏まえた伐採を行ったことで、主伐は前半5箇年の計画量を上回った一方、入札不調や自然災害で間伐は計画量を下回った。林道の開設・拡張等は、優先度や緊急性の高い箇所を優先して実施。治山事業に関しては緊急性の高い保全対象を優先して実行した。
次期計画では、森林の有する諸機能が発揮される「流域」を基本的な単位として、水源涵養や山地災害防止、土壌保全、快適環境形成、木材生産等の機能を高度に発揮するための森林施業の面的な実施に加え、林道等の路網整備、山地災害の防止、病害虫や野生鳥獣害の被害対策といった森林の保護等に係る取り組みを推進する。
このうち、林業専用道の開設に関しては、西都市で29.3㎞(うち前半5年で8.7㎞)、木城町で4.0㎞(同4.0㎞)、都農町で7.1㎞(同4.5㎞)、川南町で6.2㎞(同4.4㎞)の合計46.6㎞を計画。林道の舗装及び改良は、西都市で3.9㎞(同2.1㎞)、木城町で3.4㎞(同2.3㎞)、都農町で2.8㎞(同1.3㎞)、川南町で1.8㎞(同1.5㎞)の合計11.9㎞を計画する。
一方、渓間工や山腹工、護岸工、根固工等の治山事業に関しては、実施すべき施工地区数を西都市で56地区(同30地区)、木城町で56地区(同30地区)、都農町で15地区(同4地区)、川南町で12地区(同3地区)、西米良村で2地区(同1地区)と設定。新富町と高鍋町では、防風柵工と静砂工を各1地区で実施する方針でいる。
このほか、間伐立木材積とその他の伐採立木材積の総数を146万9000m3(前半5箇年で70万4000m3)、間伐面積の総数を7076㌶(同3355㌶)、人工造林面積を2534㌶(同1242㌶)、天然更新造林面積を281㌶(同138㌶)としている。森林計画書案は九州森林管理局のホームページで確認できる。