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今後発注が予定されている県内の大型建築プロジェクト

 今後発注が予定されている県内の主な建築プロジェクトについて、整備内容や進捗状況、発注予定時期等をまとめた。
 宮崎県は、2027年の国民スポーツ大会と全国障害者スポーツ大会の開催に向けて、大会の主要会場と位置付ける陸上競技場や体育館、プールを関係市町や民間事業者等と連携して整備するほか、東京ビルの建替に向けた検討、県立宮崎病院再整備に伴う精神医療センターや付属棟の改修を計画している。
 市町村では、日南市が庁舎の建て替えを計画。宮崎市は市庁舎整備のあり方検討やPFI方式による市営団地の建替事業、都城市は物産振興拠点施設の整備、日向市は総合体育館や東郷診療所の整備、木城町は義務教育学校の施設整備、延岡市は野口遵記念館や西階公園多目的屋内施設の整備などに取り組む。
 独法・民間関係では、西都児湯医療センターの再整備や株式会社センター・シティによる複合施設建設が計画されている。

◆ 新田原基地施設整備(熊本防衛支局)

 日米両政府が18年に合意した「新田原基地及び築城基地の緊急時の使用のための施設整備」に基づき、緊急時に米軍の戦闘機や輸送機、兵士を受け入れるため、新富町の新田原基地に倉庫や火薬庫、燃料施設を新設するほか、誘導路等の整備等を実施する。各施設は22年度までに完成させ、アメリカ政府に提供する。
 建築関連工事では、20年2月に倉庫A・Bや機械室を新設する「倉庫新設等建築その他工事」を上田工業・甲斐工務店JVが4億6,000万円で落札したほか、20年7月にRC造地上3階・地下1階建延べ6,800m2の庁舎新設等を行う「庁舎新設等建築その他工事」を村本建設・菅組JVが17億8,500万円で落札した。
 このほか、20年に発注した工事では、誘導路等整備工事を鹿島道路が32億5,000万円、駐機場等整備土木工事を奥村組土木興業が16億6,000万円、航空灯火整備工事を明光社が1億1,100万円、火薬庫新設土木工事を植村組が5億2,220万円、燃料施設新設土木その他工事を前田建設・坂下組JVが12億8,500万円で落札している。

◆ 国スポ主要施設整備(宮崎県・関係市)

 2027年の国民スポーツ大会及び全国障害者スポーツ大会の開催にあたり、既設の県有体育施設の多くは施設や設備の老朽化が進んでいるほか、国スポ開催に必要となる施設基準を満たしていないなどの課題を抱えているため、都城市山之口運動公園に陸上競技場、延岡市民体育館敷地に体育館、宮崎市内にプール施設をそれぞれ整備する。事業の詳細は別途掲載の特集記事を参照。

◆ 東京ビル建替検討(宮崎県)

 昭和47年の竣工から築47年が経過する東京ビル(東京都千代田区)は、躯体や設備の老朽化が進み、施設の維持管理費が嵩んでいる。一方で、更なる土地の高度利用化の余地があることや、立地環境の有効活用を検討する必要があることから、県は東京ビルの方向性として「再整備(建替)」が最適との考えを示していた。
 20年1月の県議会常任委員会に報告した検討内容では、再整備の方針として建て替えを選択した場合、新施設は既存施設から3割程度増床し、地上15階前後の建物とすることを想定。この場合、職員宿舎・職員寮は3フロアを使用して40戸程度、学生寮は2フロアを使用して男女各30室程度(定員60人程度)を設ける。
 このほか、県内企業向けのフロンティアオフィスは個室で5室程度を確保し、会議室は現在と同じ1室(約100m2)とすることも盛り込んだ。新たな東京ビルを地上15階前後の施設として建て替えた場合、県人会事務局等を含め、残りの9フロア前後を民間活用部分とすることが可能になるといった案を示している。
 20年6月には、再整備に係る計画作成等支援業務をみずほ総合研究所に委託。それまでの検討内容を踏まえ、▽基礎情報整理▽スケジュール精査▽県施設の規模等検討▽民間事業者への意向調査▽リスク分析・分担の検討▽概算事業費の算定▽基本計画、公募要項等の作成支援―を委託している。期間は21年3月31日まで。

◆ 県立宮崎病院再整備(宮崎県)

 全体計画は、敷地北側のエリアにS造8階建延べ4万7582m2の新病院を整備するほか、既存の付属棟や精神医療センター、倉庫等を改修して活用する。新病院の完成後、精神医療センターや付属棟の改修、旧病院解体等の付帯工事を行う。
 20年10月末時点の新病院の工事進捗率は、建築主体工事で42.5%、その他設備工事を加えた全体で29.0%。最上階までの鉄骨建方がほぼ完了し、外部では外壁工事や建具設置工事、内部では床工事や間仕切壁の設置工事、配管工事を行っている。
 現在の精神医療センター(RC造2階建延べ3,748m2)の機能は新病院に移転。県下の医療従事者のための研修施設として改修し、研修スペースや多目的スペース、宿泊スペースを整備するとともに、一部を第一種感染症対応施設として整備する。
 また、看護学生や委託業者の控室、宮崎市が運営する夜間急病センター小児科等を配置している既存の付属棟(RC造3階建延べ1,632m2)は、夜間急病センター小児科の機能を残し、その他のスペースを院内保育施設や職員仮眠室等に改修する。
 今後は、21年6月に付属棟改修工事、21年10月に精神医療センター改修工事にそれぞれ着手。22年1月の新病院開院後、2月から現病院の解体工事や外構工事等に着手する。23年3月までに整備を完了させ、4月にグランドオープンする。

◆ 宮崎市庁舎整備・あり方検討(宮崎市)

 防災拠点としての耐震性や洪水による浸水の可能性、課の分散化や諸室の狭隘化など、現庁舎が抱える様々な課題を踏まえ、市は17年に「推定耐用年数である28年までは維持管理を行いながら現庁舎を活用し、その間、基金等の財源確保に努め、建て替えを含めた庁舎のあり方を更に検討する」との方針を決定した。
 19年3月には、学識者や関係団体の代表、公募市民らで組織する懇話会が、「建て替えが望ましい」とする報告書を市に提出。20年6月の市議会全員協議会で戸敷正市長は、庁舎を建て替えで整備する方針を示すとともに、現在地を含む橘通り周辺、宮崎駅周辺、中村町周辺、南宮崎駅周辺の4つのエリアを候補地に挙げた。
 市民懇話会で市が参考として示した建て替えの整備イメージは、現地建替が分棟方式及び1棟集約方式の5パターン、移転建替が1棟集約方式の2パターン。関係法令の制約の中で考え得る最大限の規模(延床面積4.5万~5万m2)を想定し、現地の場合の整備期間を約7年~8.5年、移転の場合の整備期間を約4年と試算する。
 20年度に4回程度開催する市民検討会で、候補エリアに関する委員会としての提言書をとりまとめ、20年3月に市長に提出する予定。提言の内容を踏まえ、21年度以降に新庁舎建設に係る基本構想の策定に着手する見通し。

◆ 複合型アリーナ構想(宮崎市)

 ライブやエンタテインメント等に活用できる多機能複合型アリーナをJR宮崎駅東側に整備する計画。19年3月に市がまとめた「アリーナ基本構想」では、民間事業者が所有する宮崎駅東口の駐車場用地(面積6,454m2)を最適候補地と位置付けた。事業手法は「民設民営」を基本として、意欲ある事業者の誘致に注力する。
 施設規模に関しては、スポーツイベントやライブ・エンタテインメントでの使用など、様々な視点から検討を行い、ライブ・エンタテインメント時の収容人数を6,000人以上、座席数を4,000席以上、アリーナ部分面積を約2,400m2、建築面積を約5,000m2と想定している。詳細に関しては、今後の設計業務等で詰める。
 事業手法は「民設民営」を基本としており、戸敷市長は12月9日の市議会で「20年度中に事業者と発表する場を設けたい」と述べた。

◆ 新町・追手団地建替事業(宮崎市)

 宮崎市佐土原町西地区の更新時期を迎えた市営住宅6団地を集約して建て替える「新町・追手団地建替事業」にPFI方式を適用する。20年11月にPFI法に基づく特定事業に選定した。事業者グループが既存住宅の解体・撤去や新たな団地等の整備、入居者の移転支援を行った後、市に所有権を移転するBT方式を採用する。
 建替対象団地は、▽新町団地▽追手団地の一部▽宝塔山団地▽今坂団地▽都甲路団地▽那珂団地―の6団地。建替事業範囲(新町・追手団地)に現存する平家建住宅及び周辺4団地を解体撤去し、新たに70戸の住棟及び附帯施設、必要に応じたアクセス通路、既存水路の整備を行うほか、既存市営住宅の入居者移転支援も行う。
 応募グループの募集と優先交渉権者の選定に際しては、透明性・公平性・競争性の確保に配慮し、事業に係る対価及び提案内容等を総合的に評価する公募型プロポーザル方式を採用する。20年12月頃に公募を開始し、21年6月頃に優先交渉権者を決定する予定。7月頃に基本協定、9月頃に特定事業契約を締結する。
 応募グループに関しては、▽設計企業▽建設企業▽工事監理企業▽入居者移転支援企業―で構成し、建設企業の中から代表企業を定める。また、宮崎市の競争入札参加資格者名簿に登載されていることや同種工事・業務の実績を有すること、指定地域内に事業所を有することなど、各構成企業ごとに参加資格要件を設ける。

◆ 小戸保育所整備(宮崎市)

 安全・安心な保育環境を確保し、待機児童の解消を図るとともに、社会情勢等の変化に伴う多様な保育ニーズに対応するため、老朽化している小戸保育所の園舎を隣接する旧小戸母子生活支援施設跡地に建て替える。新園舎の規模はRC造2階建延べ1,084m2。施設内には保育室や調理室、医務室、相談室、ランチルーム等を備える。
 施設整備に係る基本・実施設計は岩切設計が担当。12月16日に条件付一般競争入札で行う「小戸保育所新築工事のうち建築主体工事」を公告した。新園舎の建築主体工事や一部外構工事を施工し、電気・空調・給排水設備工事は別途発注する。建設工期は22年3月4日まで。1月7日まで入札参加申込書を受け付け、1月27日に開札する。

◆ 日南市新庁舎建設(日南市)

 経年に伴う既存庁舎の老朽化や耐震性能不足、バリアフリー等の課題に対応するため、敷地内に新たな庁舎を建設する計画。既存の本館及び議会棟を解体後、保健福祉総合センターの東側に新庁舎を建設し、駐車場や広場等を整備する。
 基本設計段階に於ける新庁舎の規模は、RC造一部PC造(議場屋根)、地上3階建(塔屋1階)、延床面積は6,340m2。このほか、車寄せ庇棟や車いす駐車場上屋、車庫棟、多目的室、渡り廊下といった附帯建物の総面積は880m2を見込む。
 地質調査の結果等を踏まえ、新庁舎には免震構造を採用する。耐震安全性の分類は、構造体をⅠ類、建築費構造部材をA類、建築設備を甲類とする。1階に執務室等、2階に市長等エリアと執務室等、3階に議会機能と執務室等を配置する。
 施設整備に係る設計業務は山下設計・岩切設計JVが担当。19~20年度に基本・実施設計を進めると同時に、20年度に既存の本館及び議会棟の解体を行う。21~22年度に新庁舎の建設工事、22年度に外構工事を行い、22年度の工事完了を目指す。

◆ 道の駅北郷整備(日南市)

 将来的な東九州自動車道の全線開通及び日南北郷ICの設置を見据え、東九州道利用者の北の玄関口となり、交流人口や物流の促進を図ることで新たな雇用を生み出し、高齢者の生きがいや防災の拠点となる「地域住民のための道の駅」を整備する。
 建設場所は、県道日南高岡線に隣接した北郷町郷之原のエリア(約1万6,000m2)。林業会館や旧北郷町総合支所、農村環境改善センターを解体し、跡地に主要施設や広場、駐車場を整備する。ふれあい交流センターや北郷図書館は既存施設を活用する。
 主要施設の総面積は約980m2。敷地中央に▽休憩・観光情報施設(事務所・観光案内等)=約150m2▽トイレ・防災倉庫=約250m2▽飲食施設=約180m2▽調理実習室=約100m2▽農林水産物等販売施設=約300m2―を集約して整備する。
 新施設のグランドデザインは蟻川建築設計事務所が担当。デザインをもとに市が基本設計を行った。20年度当初予算に既存施設の解体工事費や実施設計費等を盛り込んだが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、補正予算で同額を減額した。

◆ 道の駅くしま整備(串間市)

 JR串間駅西側に整備する道の駅くしまは、市民及び道路利用者に良好な休憩場所を提供するとともに、地域情報の発信や地元産品の販売等を通じて、地域の活性化に寄与するもの。あわせて、市民や観光客等の来訪者の交流促進を図り、地域の防災拠点や市民の福祉向上としての機能を発揮することも期待する。
 敷地内には、地元産の新鮮食材やこれを活用した料理を提供する「物販・飲食棟」、市民向けの生活情報から観光案内まで情報発信の起点と位置付ける「情報施設棟」、会議や勉強の場として幅広い年齢層に活用してもらう「市民交流棟」、各種イベントを開催する屋根付の「イベント広場」のほか、駐車場や緑地、外構等を整備する。
 施設整備に係る実施設計は宮崎設計が担当。計画によると、20年度は物販・飲食棟(木造平屋建延床面積1,136m2)と情報施設棟(木造平屋建延床面積247m2)を整備し、両施設の完成後、21年春頃に施設をプレオープンする予定でいる。残る市民交流棟とイベント広場は21年度に整備を行い、同年度中のグランドオープンを目指す。

◆ 高原町役場庁舎整備(高原町)

 耐震性能の不足や経年劣化といった役場庁舎が抱える課題への対応として、耐震化で整備するとしていたこれまでの整備計画を、建て替えも視野に再検討する。
 現在の役場庁舎(大字西麓899番地、RC造約3,000m2)は1973年に竣工。建設から40年以上が経過し、施設本体や設備の経年劣化が進むとともに、国が定める耐震基準を満たしていない状況にあることから、施設の耐震化を図る方向で計画を進めていた。
 ただ、17年度に行った耐震補強設計の段階で、既存庁舎のアスベスト除去に伴う仮設庁舎の建設など、事業費が大幅にかさむことが判明。新庁舎の建設も視野に整備計画を再検討する考えを高妻経信町長が議会で示していた。

◆ 物産振興拠点施設整備(都城市)

 既存の道の駅都城や都城圏域地場産業振興センターなどの建物を解体し、集客力と販売力を有する物産振興拠点施設として整備することで、物産振興や交流人口の拡大に伴う地域の活性化につなげる。既存施設は、交通量の多い国道10号に面していることから、道路管理者と市町村等が共同で整備する「一体型」の道の駅とする。
 施設整備に係る基本計画によると、道の駅として整備するために必要となる機能や、これからの道の駅に期待される役割を踏まえ、新施設には「日本一の肉と焼酎」を提供する飲食・物販機能、地場産品の魅力を体感できる展示・体験機能、駐車場・トイレ・休憩場といった休憩機能、観光情報発信機能、防災機能を持たせる。
 これを踏まえた屋内施設の規模は2,900m2程度、屋外施設は7,750m2程度と想定。敷地北側に屋内施設を一体的に配置し、駐車場は南側を主体として、施設の東側や西側にもそれぞれ配置する。屋内施設のうち、物産振興拠点施設(約2,360m2)は都城市、情報発信・休憩施設等(約540m2)は国土交通省が整備する。
 20年度は物産振興拠点施設や屋外天蓋施設に係る基本設計・実施設計、地質調査、一部解体設計を行う。21年度前半に地場産業振興センターを解体し、21年度後半~22年度にかけて本体建設工事と外構工事を実施。23年度早期に施設を暫定オープンし、23年度前半に残る既存施設の解体工事と外構工事を行う。

◆ 複合施設建設(センター・シティ)

 中心市街地の更なる賑わいとまちづくりの起点となる施設を目指し、都城市のMallmallに併設して、スーパーマーケットやオフィス、レストラン、ホテルなどが入居する複合施設を整備する。施設の整備は地元企業でつくる株式会社センター・シティ(安田耕一代表取締役)が行う。
 複合施設の規模はS造7階建延べ8,164m2。1階には、地域住民の買い物需要に応えつつ、都城の食の魅力を発信するスーパーマーケットを配置。2階には、商工会議所が入居するほか、オフィステナントや共用のラウンジを配置し、新しい働き方や働く人が快適に仕事をできる場とする。
 地元企業の接待機能として、3階には個室型飲食施設やイベント利用が可能なレストラン、バーベキューテラスを配置。3階にはホテルのフロントも入り、4~7階は全93室の客室とする。客室は、ゆったりとした広めの部屋構成で、洗練されたデザイン性の高いインテリアとする。
 建物の所有・経営とプロジェクト全体統括はセンター・シティ、プロジェクトマネジメントと事業計画の策定は株式会社アルファコンサルティングが担当。施設全体の企画設計・デザインや開業準備コンサルは、まちづくりにつながる企画・設計・運営を手掛けるUDS株式会社が担当する。
 総事業費は約37億円。事業スケジュールによると、21年2月の工事着手、同年12月の竣工、22年4月の開業を目指している。

◆ 交流拠点施設整備(三股町)

 人口減少問題への対応や中心市街地の活性化を目的に、生涯学習や地域活動、健康増進、スポーツの振興を図りつつ、子どもや親を取り巻く環境の変化といった新たな地域のニーズを踏まえ、五本松団地の跡地を活用して交流拠点施設を整備する。
 20年3月に策定した基本構想では、施設を整備することで解決できる課題を抽出。町民のニーズや施設の公共性・公益性、中心地ゾーン内の人の動きをイメージし、「五感に優しい、居心地の良い まちのたまり場」を拠点づくりのコンセプトに掲げた。
 導入機能に関しては、既存の中央公民館の生涯学習機能の移転や文化活動の場、子どもの居場所、親子が触れ合える場とするほか、気軽に運動やスポーツに親しむことができる広場やウォーキングコース、フィットネス、屋内プールなどをイメージ。
 これらの機能に、飲食店の併設や特産品等の販売、チャレンジショップ、健康増進施設の管理運営、テナント誘致、食品加工販売といった「稼ぐ機能」を付加することで、事業の実現性や継続性を高める。非常時の利活用も想定した整備を意識する。
 20年度は、官民連携による施設整備の実現可能性を調査。基本計画、基本設計、実施設計、建設工事を個別に発注する従来発注方式と、これらを包括的に発注する包括発注方式のいずれかで進めるかを判断する。

◆ 西都児湯医療センター再整備(西都児湯医療センター)

 昭和55年建設の現病院(RC造3階建延べ3,535m2)は、経年に伴う施設や設備の老朽化・狭隘化等を背景に、許可病床91床のうち65床しか確保できていない。病院としての機能強化を図るとともに、医師を惹きつける魅力ある施設へ再整備するため、移転新築を軸に計画を進める。17年3月に基本構想を策定した。
 許可病床数を確保できる施設を目指すことから、近年の自治体病院の平均的な1床当たり面積を参考に、病院本体の延床面積を7,700m2程度と試算。災害拠点病院の整備基準に準拠するため、免震構造等を検討すると共に、構造体の耐震安全性の目標は▽構造体Ⅰ類▽建築非構造部材A類▽建築設備甲類―を基本とする。
 これまでに施設整備に係る基本計画案をまとめ、国に対して病院事業債の仮申請を行った。建設場所に関しては、既存施設の東側を候補地として、建物等の調査を進めている。当初の計画では、建設場所の造成や新病院建設に係る設計及び工事等を段階的に行い、21年度の開院を目指していた。

◆ 義務教育学校施設整備(木城町)

 1960~70年に建設された現在の木城小学校と木城中学校の校舎は、経年に伴う躯体や設備の老朽化が進んでいる。少子高齢化に伴う児童・生徒数の変化や既存施設の現状、先進地の事例視察、関係者による協議等を踏まえ、小学校課程から中学校課程までの義務教育を一貫して行う義務教育学校を新設する。
 新設する義務教育学校では、ふるさと教育や外国語教育、ICT教育、キャリア教育に重点を置き、連続した学びに支えられた学力及び学習意欲と体力の向上、ふるさとを愛し、誇りに思う心情や態度の育成、豊かな人間性・社会性の育成を図る。
 既存の町体育館やトレーニングセンター、総合交流センター(リバリス)などを有効活用するため、新校舎は木城中学校のグラウンドに建設。基本設計段階に於ける規模は3階建延べ約7,800m2で、普通教室や特別教室、職員室などの関係諸室を配置。トラックや野球場、サッカー場等を備えたグラウンドを木城小学校に整備する。
 新校舎の整備に係る基本設計は教育施設研究所が担当し、同社が引き続き、実施設計も行う。計画では、21年3月中に設計を完了させ、21年度に工事に着手する方針。町制50周年の節目にあたる23年度の開校を目指している。

◆ 総合体育館整備(日向市)

 既存の体育センター及び武道館の現状や課題、スポーツ施設の利用状況や市民のニーズを踏まえ、▽競技機能▽観覧機能▽管理・サービス機能▽健康増進機能、交流機能▽防災機能―を有する総合体育館を整備する。これらの機能を盛り込んだ施設規模を簡易的に試算し、新施設の規模を5,000~7,000m2程度と想定する。
 建設場所は、現敷地やお倉ケ浜総合公園、大王谷運動公園の各候補地について、拠点性・経済性・防災性・利便性の視点で検討を行い、「大王谷運動公園が整備場所として最も適している」とした。総合的に優位性の高い大王谷運動公園内に総合体育館を整備することを基本に、具体的な施設レイアウトの検討を進める。
 大王谷運動公園内には、野球場や陸上競技場、水泳場、弓道場、芝生広場が整備されており、その中でも水泳場は老朽化や費用対効果の面から廃止を含めた今後のあり方について検討が必要となっている。このため、水泳場を総合体育館の整備候補地とし、その場合の芝生広場や陸上競技場等の活用方法も検討する。
 20年度は総合体育館整備PFI等導入可能性調査を玉野総合コンサルタントに委託。従来の「設計・施工・維持管理分離発注方式」に加え、民間事業者の創意工夫等を活用するPPP/PFI方式の採用を検討する。20年度に各種調査、21~22年度に設計等、23~24年度に工事を行う予定でいる。

◆ 東郷診療所整備(日向市)

 安定的な医師確保が困難であることや近年の経営状況を踏まえ、市は21年4月から東郷病院を無床診療所に移行する方針を決定。新たに東郷診療所としてスタートするにあたり、将来にわたって東郷地域を支える医療拠点、地域包括ケアシステムの拠点としての役割を果たせるよう、老朽化した施設を整備する。
 新たな診療所は、持続可能な地域医療提供体制を構築し、住民に信頼され、住み慣れた地域で安心して医療が受けられる診療所を目指す。地域のかかりつけ医療機関としての機能や在宅医療機能、疾病予防医療機能、保健機能を確保し、現在の内科・整形外科・リハビリテーション科の3診療科を堅持する。
 施設の規模は、建物部分を500m2程度、駐車場等を含めた敷地面積を2,000m2以上と想定。基本計画や設計業務の中で、詳細は諸室構成を検討する。診療所の整備に合わせ、医療ニーズや医師の意見を踏まえながら、医療機器の更新を基本計画の中で検討する。診療所の整備費は概算で4~5億円程度を見込む。
 整備候補地については、道の駅とうごう内の農産加工施設を候補地としていたが、市民から寄せられた様々な意見を踏まえ、整備検討委員会で再検討を行う。事業スケジュールでは、21年度に基本計画の策定、21~22年度に基本・実施設計、23年度に施設整備を行い、24年度の供用開始を目指している。

◆ 学校給食センター整備(門川町)

 既存の学校給食調理場(草川小学校・五十鈴小学校・門川小学校敷地内)は、南海トラフ巨大地震等の津波被害想定地域に立地しており、文部科学省が求める衛生面の条件を満たしておらず、老朽化に伴う修繕費用の増加や機器・設備の更新といった課題も抱えている。このため、既存の学校給食調理場3箇所を1箇所に集約して建て替える。
 町がまとめた基本計画によると、新たに整備する学校給食センターでは、小学校3校と中学校1校の4校分の給食を調理して、各校に配送。最大調理能力を1,700食/日と設定し、五十鈴小学校の西側町有地を建設候補地としている。新たな給食センターの完成後、現在の調理場はコンテナの受入施設として再整備する考えでいる。
 施設の整備に向けて、町は17~18年度に建設候補地の測量設計や地質調査を実施。基本計画を踏まえ、19年度には厨房機器購入事業を中西製作所に、20年度に施設の建築設計を長田建築企画設計事務所に委託した。事業スケジュールによると、21~22年度に建設工事を行い、23年度に施設の供用を開始する方針でいる。

◆ 野口遵記念館整備(延岡市)

 経年に伴う躯体や設備の老朽化が進み、抜本的な対策が急務となっていた旧延岡市公会堂野口記念館を現在地(延岡市東本小路119-1)に建て替える。市民に長く愛されてきた野口記念館の佇まいを継承しつつ、先進的な機能とデザインを採用することで、市民が新しい「わたしたちの拠点」と感じられる施設を整備する。
 新施設は、RC造一部S造で地上3階建、延床面積は約4,363m2。675席を有するホールや野口遵翁顕彰ギャラリー、フリースペース・練習室などのほか、建物全体のロビーとして「野口遵どおり」「ごかせどおり」「おおせどおり」を配置する。設計は香山・小嶋・菊池・松下・コトブキ・オーツ特定建築設計共同体が担当した。
 市は20年7月に条件付一般競争で野口遵記念館建設に係る「建築主体工事」「電気設備工事」「空気調和設備工事」「舞台機構設備工事」の入札を執行。電気設備工事と空気調和設備工事、舞台機構設備工事の落札者を決定したが、建築主体工事は応札した2者の入札金額が予定価格を超過したため、入札不調とした。
 これを受けて、10月6日付で再公告を行い、11月11日に入札を行ったが、応札した1者の入札金額が公表価格を超過したため、不調とした。

◆ 西階公園多目的屋内施設整備(延岡市)

 宮崎県地域防災計画で災害時の後方支援拠点に位置付られている西階公園の防災機能強化を目的に、大規模災害発生時の避難場所や一時的避難生活場所、物資等の集積・仕分け・搬送などの役割を果たす多目的屋内施設を整備する。
 新設する多目的屋内施設は、物資の必要量や他市の事例等を参考に、階数を1階~2階建程度、延床面積を3,450m2程度と想定する。建設費用は約10億円。立地の優位性等を踏まえ、既存の25mプール及び幼児用プール付近を候補地とする。
 財源には国の社会資本整備総合交付金を活用する見通し。新設する多目的屋内施設は、通常時にフットサルや野球、ソフトボール、グランドゴルフといったスポーツ・レクリエーション、小規模な大会等が開催できるスペースとして活用する。
 20年7月には、新施設の建築主体・電気設備・機械設備・屋外附帯等に係る基本設計業務を松下・梶原特定建築設計共同体に委託した。委託期間は20年12月18日まで。21年度以降に実施設計や建設工事等を発注する予定でいる。

◆ 島野浦地区小中一貫校整備(延岡市)

 地元の要望や既存施設が老朽化している現状を踏まえ、島野浦小学校と島野浦中学校を統合した小中一貫校を中学校の所在地(島浦町322番地4)に整備する。地域IoTを効果的に活用し、少人数化等の課題を克服する「新しい教育」の延岡モデルに先進的に取り組む環境を整えるとともに、不足する校舎や共同調理場を新設する。
 20年10月には施設整備に係る設計業務を菊池・小嶋特定建築設計共同体に委託。小中一貫校整備に伴う▽校舎新設=S造2階建、延床面積476m2▽給食調理場新設=S造平屋建、延床面積141m2▽既設校舎改修(教室内部改修、体育館床張り替え外)―に係る建築設計と設備設計を行う。委託期間は21年3月10日まで。
 20年度に実施設計や地質調査、21年6月~12月に教室棟や共同調理場の新築工事、21年6月~10月に既設校舎の改修工事を行い、22年4月の供用開始を目指す。