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2027宮崎国スポ・障スポ 主要施設の整備に本格着手

      

▲陸上競技場、体育館のアリーナ内部のイメージ、施設の整備スケジュール案

 2027年に本県で開催される国民スポーツ大会及び全国障害者スポーツ大会に向けて、宮崎県は大会の主会場と位置付ける陸上競技場、体育館、プール施設を新たに整備する。このうち、従来方式で発注する陸上競技場と体育館は設計業務が進捗中であり、21年3月に体育館、21年6月に陸上競技場の建設工事に係る入札公告を行う予定。一方、プール施設に関しては、PFI法に基づく特定事業として、20年11月9日に一般競争入札で事業者を選定する「県プール整備運営事業」を公告した。

■陸上競技場

 山之口運動公園の区域を拡張して整備する陸上競技場は、県道422号の東側をスポーツエリアと位置付け、北側に第一種公認の主競技場、その東側に投てき練習場(整備面積1万4000m2程度)を配置。主競技場の南側に第三種公認の補助競技場、その西側に多目的広場(整備面積1万6000m2程度)を配置する。
 主競技場はRC造(屋根部分S造)4階建、建築面積1万1940m2、延床面積2万0620m2。メイン・バックスタンドの椅子席を1万1500席程度、サイドスタンドの芝生席を3500席程度とする。官庁施設の総合耐震・津波計画基準に基づき、耐震性能目標は構造体をⅡ類、非構造部材をA類、建築設備を乙類とする。
 フィールド内の走路は400m×9レーンの全天候舗装を計画。走幅跳びや三段跳び、棒高跳び、走高跳びに対応する跳躍競技施設、砲丸投げや円盤・ハンマー投げ、やり投げに対応する投てき競技施設、水壕を含む障害物競走施設、インフィールドのほか、夜間照明設備や電光掲示板(大型映像装置)も整備する。
 また、都城市が整備する補助競技場はS造2階建、建築面積1500m2、延床面積1900m2。観客席数は1000席程度を確保する。投てき競技の練習に使用する投てき練習場の整備面積は1万4000m2程度、サッカーや野球など多様なスポーツ等に使用できる多目的広場の整備面積は1万6000m2程度とする。
 一方、県道422号の西側は駐車場エリアと位置付け、第1~第3駐車場(合計1200台程度)のほか、歩行者が道路を横断する前の滞留スペースを兼ねる広場を整備する。県では、これらの施設整備に係る概算工事費を約214億円(うち県発注工事154億円程度、都城市発注工事60億円程度)と試算する。
 20年12月には、進捗中の実施設計の精度を高め、事業に参加しやすい公募条件等を整理するため、民間事業者を対象としたマーケットサウンディングを実施。対話では、入札参加資格に於ける企業や技術者の施工実績に関して、要件の緩和を求める意見が寄せられたほか、建設工期の短縮やコストの削減につながる提案があった。
 主競技場等の設計は佐藤・益田設計業務共同企業体が担当し、21年3月までに実施設計を完了させる。県は、21年6月頃に主競技場の建設工事を公告し、事業者との契約締結後、21年12月~24年12月に工事を行う予定。22~24年度に市が補助競技場工事を行い、最終的に25年3月の整備完了を目指す。

■体育館

 延岡市民体育館の敷地内に新設する体育館の建築規模は、低層部がRC造、屋根部がS造と木造、階数は地上2階建で、延床面積は1万2980m2程度。メインアリーナには固定席2008席と可動席1944席、サブアリーナには固定席504席を配置する。施設の設計業務が石本・宮崎設計業務共同企業体で進む。
 設計に際しては、機能性・将来性・安全性に優れ、スポーツランドの拠点となるよう、「スポーツランドみやざきの拠点となり、まちの活性化に寄与する体育館」「アリーナの特性と延岡の気候風土を踏まえた工法・環境技術の導入によるLCC削減」「県民にとって安全・安心な避難拠点・防災拠点施設」をコンセプトとした。
 新たな体育館の建設は、既存体育館(別館)解体~サブアリーナ建設~既存体育館(本館)解体~メインアリーナ建設のローリング計画で進める。概算工事費は約89.1億円で、内訳は▽建設工事費83億円▽解体工事費3.7億円▽工事監理費等2.4億円。解体工事は宮崎県が一括して発注し、延岡市が費用を負担する。
 新型コロナウイルス感染症の影響で事業者と打ち合わせができず、実施設計の完了時期が20年12月までずれ込むほか、建設事業者を対象としたマーケットサウンディングで、4週8休での工期を設定した場合、当初の想定工期では不足するとの意見があったことから、事業の全体スケジュールを見直す。
 新たなスケジュール案では、21年3月に既存体育館解体~メインアリーナ建設までの主体工事を公告する。設備工事はサブアリーナ(1工区)とメインアリーナ(2工区)に分割し、1工区の入札を21年度第2四半期に行う見通し。23年4月のサブアリーナ完成、25年9月のメインアリーナ完成を目指す。

■プール施設

 国スポ・障スポや大規模な公式大会が開催可能な日本水泳連盟公認プール(国内一般・AA)を、宮崎市錦本町の県有グラウンドに整備する。施設は、50mプール、25mプール、トレーニングルーム、多目的スタジオ、関連諸室、駐車場等で構成。仮設を含む観客席数は2500席以上で、延床面積は1万3000m2以上を見込む。
 整備手法はPFI方式で、事業者がプール施設の設計及び建設を行い、完成後に施設の所有権を県に移転した後、15年間にわたって施設の運営・維持管理を行うBTO方式を採用する。事業期間は、設計・建設が契約締結日~24年12月、開業準備が25年1月~3月、運営・維持管理が25年4月~40年3月を予定。
 事業ではこのほか、敷地内の余剰地を活用した民間収益施設を一体的に整備する提案を求める。民間収益事業者は、県と事業用定期借地権設定契約を締結し、民間収益事業敷地において独立採算事業として民間収益施設を整備し、その運営・維持管理を行う。借地期間は20年以上50年未満の間で、事業予定者が提案した期間とする。
 20年11月には「県プール整備運営事業」を公告。プール施設の設計業務、建設業務、工事監理業務、運営業務、維持管理業務にあたる複数の者で構成するグループを参加対象とし、各業務について県の入札参加資格認定を受けていることや、同種業務の実績を有することを求める。税抜の予定価格は151億4350万7000円。
 選定スケジュールは、▽参加表明書の提出=20年12月11日~14日▽資格確認通知書の通知=12月18日▽第1回競争的対話=12月23日~24日▽第2回競争的対話=21年2月22日~24日▽入札書類(技術提案書)の提出=4月7日~9日▽開札日=4月12日▽落札者の決定・公表=21年6月―を予定している。

■競技力向上へ練習環境整備

 国民スポーツ大会に向けて競技力の向上を図り、大会終了後も更なるスポーツの発展に寄与することを目的として、県は19年6月に「競技力向上基本計画」を策定。①推進体制の整備・充実②選出の発掘・育成・強化③指導体制の充実・強化④環境条件の整備―を競技力向上対策の4本柱に据え、これに基づく事業を積極的に推進する。
 練習環境(施設)の整備に関しては、学校体育施設や公共施設等の既存の練習環境を最大限活用して競技力向上に取り組むことを基本とするが、練習に必要な施設が整備されていない競技や、既存施設の規格等が基準に満たない競技、既存施設の老朽化が著しい競技については、環境整備を行う必要がある。
 天皇杯獲得のため、競技団体等から要望があったもののうち、宮崎国スポでの得点増加等の整備効果が見込まれる競技について、練習環境を重点的に整備する。
 現時点で計画する主な施設整備では、規格等が不十分で老朽化が進む宮崎県総合運動公園の自転車競技場を改修する方針。20年度に基本設計、21年度に実施設計、22~24年度に工事を行う。また、県立小林高等学校等体育館のバスケット床改修も計画し、20年度に設計、21年度に工事を行う予定でいる。
 一方、日常練習に必要な施設が整備されていない競技では、県立宮崎工業高等学校の水球プール(設計=20年度、工事=21~22年度)と、県立延岡星雲高等学校のアーチェリー場(設計=20年度、工事=21年度)の新設などを計画している。

 ※イメージ図はいずれも宮崎県提供