国土交通省は、改正建設業法の10月1日施行に伴う『建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準』と『建設業許可事務ガイドライン』の改正案をまとめた。監督処分基準の改正案では、法改正で新設された「著しく短い工期の禁止」「建設資材製造業者への勧告制度」「特定専門工事」などに関する処分を規定。特定専門工事では、主任技術者を配置しない下請けが再下請けした場合、15日以上の営業停止処分を行うとしている。
監督処分基準と許可事務ガイドラインは、大臣許可業者の不正行為に対する監督処分の基準と許可手続きを定めたもの。知事許可の許可行政庁である都道府県もおおむねこの基準に沿って許可事務と監督処分を運用している。改正案はいずれも9月中に決定し、改正建設業法と同じ10月1日に施行する。
監督処分基準の改正案では、改正法に盛り込まれた▽著しく短い工期の禁止▽建設資材製造業者への勧告▽特定専門工事▽事業承継に対する事前認可制度―などに関する処分の考え方を示した。
このうち、特定専門工事は、上位下請けに指導監督的な経験(1年以上)がある主任技術者を配置していれば、それ以下の下請けに主任技術者の配置を求めない仕組み。対象工事は、主任技術者の専任義務がない請負金額3500万円未満の鉄筋工事と型枠工事。
対象工事の下請けに主任技術者の配置を求めないものの、再下請けは禁止している。監督処分基準の改正案では、再下請けによってこの規定に違反した下請けを15日以上の営業停止にするとした。
この他、著しく短い工期と認められた工事の注文者(発注者、元請け、上位下請け)が建設業者だった場合は、許可行政庁が勧告し、勧告に従わなければ指示処分を行うなどとした。
一方、許可事務ガイドラインの改正案には、改正法に盛り込まれた経営業務管理責任者(経管)の要件緩和、社会保険加入の許可要件化、事業承継の事前認可制度の審査事務について解説。
経管は「役員に次ぐ職制上の地位」と「建設業以外の業種での役員経験」も経験年数にカウントすることを認めるなど、その要件を緩和。ただ、これらの経験で経管とする場合は、常勤役員を直接補佐する管理職経験者らの配置が必要になる。
ガイドラインの改正案では、この経管を補佐する者の要件である「財務管理の業務経験」を施工現場の資金調達・資金繰り管理など、「労務管理の業務経験」を社内・現場の勤怠管理や社会保険手続き、「業務運営の経験」を会社の経営方針・運営方針の策定などと例示。具体的には、許可申請時に提出する組織図などで、個別に審査する。