串間市は、将来的なまちづくりの指針と位置付ける「都市計画マスタープラン」を策定した。幅広いまちづくりの視点から、都市計画区域以外も含めた市全域を対象とし、都市の活性化、産業の振興、生活環境の改善に寄与し、持続可能な都市の実現を推進する。2020年を基準に、概ね20年後の40年を目標年次とする。
マスタープランでは、上位計画や住民の意向調査を踏まえ、まちづくりの理念を「高齢者をはじめすべての市民にとって安全・安心で住みやすく・暮らし続けられるまちづくり」とした。これに基づき、「豊かな自然と共存」「就業の場の拡大」「良好な住環境の充実」を都市としての目標の柱に設定する。
このうち、土地利用・都市施設に関する方針では、良好な居住環境や魅力ある住宅地の形成、旧吉松家住宅周辺及び道の駅くしまの整備といったJR串間駅西側一帯に於ける魅力ある市街地の形成、東九州自動車道ICを活用した企業誘致、同IC周辺に於ける効果的・効率的な土地利用の実現などを推進する。
また、市の基幹産業である農林水産業の振興、現在の都市的土地利用や道路整備の進捗状況等を踏まえた都市計画道路の全体的見直し、都市公園の維持管理の向上、地域防災拠点に位置付けられている総合運動公園の整備推進、合併処理浄化槽の普及など社会経済状況を踏まえた公共下水道の事業計画の見直しなどに取り組む。
道路交通・空間に関する方針では、総合的かつ持続可能な公共交通ネットワークの構築のため、地域公共交通網形成計画を策定する。これとあわせて、中心市街地を核として、各観光施設を有機的に結ぶ道路のネットワークを明確にし、施設案内板の設置や道路・沿道景観等を含めた魅力的な道路空間の充実に取り組む。
防災・減災に関する方針では、総合運動公園の整備推進や緊急輸送地域ルートに指定されている県道112号(今別府串間線)などの維持・保全、市街地に於ける建築物の耐震及び防災機能の向上、災害発生時に備えた危機管理等のシステムづくり、防災対策を確保するための消防庁舎の移転に向けた検討を行う。
市街地や集落では、避難路となる道路整備や防災拠点・避難場所となる公園及び緑地整備など、自然災害に対処した基盤整備に取り組む。人口や世帯数の減少に伴い、市内の空き家等が更に増加することが予想されるため、居住可能な空き家等の利活用、所有者等による適切な維持管理の促進などを推進する。
景観形成に関する方針では、豊かな自然景観の保全や誇りある文化的景観の形成、風格ある都市景観の創出に取り組む。市内では現在、景観形成の先導的な役割を担う景観形成重点地区に旧吉松家住宅周辺(仲町地区)が指定されているが、市民から提案があった地区については検討を行い、景観形成重点地区を更新する。
マスタープランが20年の長期にわたる計画のため、10年スパンで計画を前期と後期に分け、前期または全期間で取り組むプロジェクトをそれぞれ設定する。このうち「都市計画道路の全面的見直し」「総合運動公園の地域防災拠点としての整備推進」「総合的防災対策の推進」は、重点的かつ優先的に取り組む。