▲マニュアル改正の概要
国土交通省は9月30日、「監理技術者制度運用マニュアル」を改正する。あす10月1日に施行する改正建設業法で監理技術者の専任義務や主任技術者の配置義務を緩和することに伴うもの。改正後のマニュアルでは、監理技術者を兼務させる現場を「主要な会議への参加」「主要な工程への立ち合い」などを適正に遂行できる範囲に限定。新たに設けられる「特定専門工事」では、元請け・上位下請けが主任技術者を配置しない下請け作業員に直接指示することは、労働者派遣(いわゆる偽装請負)とみなされる場合があるとし、現場の責任者への指示を求めている。
改正建設業法の施行を控え、監理技術者補佐を専任で配置した二つの現場を兼務する「特例監理技術者」や、下請け代金額3500万円未満の鉄筋工事・型枠工事で主任技術者の配置を求めない「特定専門工事」の運用上のルールをマニュアルに定める。
特例監理技術者には、工事内容・工事規模・施工体制を考慮し、主要な会議への参加、工事現場の巡回、主要な工程の立ち会いなど、元請けとしての職務を適正に遂行できる範囲で兼務を認め、兼務する現場の距離を制限する見解を示した。特例監理技術者と監理技術者補佐は、常に連絡を取れる体制を構築する。
また、兼務する場合には、ICT技術の活用方針や監理技術者補佐が担う業務などを発注者に説明し、理解を得る必要もある。特例監理技術者の施工管理が不適当な場合、許可行政庁が変更を指示できるとも明記している。監理技術者補佐に対しても、資質を向上するために監理技術者講習を受講することを推奨している。
一方、特定専門工事については、元請け・上位下請けに配置する主任技術者の要件である「1年以上の指導監督的実務経験」を明確化。工事現場主任者、工事現場監督者、職長などの立場で、下請け業者に総合的に指導・監督した経験を求める。
特定専門工事でも、下請けとの契約は請負契約であるため、主任技術者のいない下請けの作業員への直接の指示が偽装請負に当たる可能性があるとも記載。元請け・上位下請けの主任技術者は、下請けの現場責任者などに指示する必要性を指摘した。
特定専門工事の元請け・上位下請けの主任技術者は、下請けの主任技術者としての職務も担うため、短期間工事現場を離れる場合に下請けも含めた施工体制に留意する必要があるとした。