建設ネット企画画像 四角 四角

土砂崩れで建設会社被災、現地で懸命の捜索続く 台風10号

B00060994_1

▲椎葉村の被災地

 台風10号の豪雨で発生した大規模な土砂崩れで、椎葉村の株式会社相生組の家屋と隣接する事務所、倉庫が被災した同村下福良の現場では、警察や消防のほか、日向地区建設業協会青年部や宮崎県産業開発青年隊青友会、地元建設団体が協力し、現在も行方が分からなくなっている4人の捜索が懸命に続けられている。

 台風10号が最接近した6日20時頃、椎葉村下福良で長さ約200m、幅20~40mにわたって大規模な土砂崩れが発生。家屋と事務所、倉庫が土砂に飲み込まれ、社長の妻・相生勝子さんと息子で専務の泰孝さん、ベトナム人技能実習生のチャン・コン・ロンさんとグエン・ヒュー・トアンさんが行方不明となっている。

 日向地区建設業協会青年部の部長を務める泰孝さんは、台風後の復旧作業に備え、手持ちの仕事を片付けるために事務所に詰めていたところ、被災した可能性があるとみられている。現地では、ボートやドローン、双眼鏡を使って付近の河川やダムの捜索が行われているが、15日13時時点で4人の発見には至っていない。

 懸命の捜索が続く中、19日には県内各地区の建設業協会の青年部で組織する宮崎県建設業協会青年部連合会が協力し、現地で捜索を行う予定。前年度まで日向地区建設業協会青年部の部長を務め、泰孝さんと宮崎県産業開発青年隊の同期でもある坂本浩一さんは、「一刻も早く4人を見つけてあげたい」と話す。

■足立議員「災害待機への補償必要」

 自民党の足立敏之参院議員は、台風10号の被害を受けた椎葉村を視察した。豪雨による土砂崩れで、相生組の社宅兼事務所が被災し、社長の家族と社員が行方不明のまま。災害時の緊急対応に備え、待機している際に被災した可能性があり、足立氏は「災害前から待機する建設業に対し、何らかの補償を考えるべき時だ」と訴える。

 9日に現地を視察した足立氏は、「建設業が災害対応に当たるためには、災害リスクと隣り合わせの環境にいる必要がある」とその危険性を強調。2020年7月豪雨で被災した大分県や岐阜県でも、建設会社社員の自宅に被害が出ており、「災害に備えた待機がボランティアのようになっている現実がある。そこに対する補償を考えなければ、地域の建設業が報われない」と語気を強める。