国土交通省は、災害発生後の被災調査や復旧工事での受発注者の役割分担を決める「災害協定」の改善・標準化を図る。発注者と建設業団体などが事前に結んでいる災害協定には、締結している協定によって記載内容にばらつきがあり、中には受注者に無償での従事を強いる協定もある。記載内容や運用の標準化を進めることで、災害時の受発注者の連携強化や復旧作業の迅速化を目指す。
災害協定は、災害直後の危険で混乱した状況下でも、応急復旧の体制を構築できるよう、国・地方自治体と建設業団体・建設関連業団体の間で結ばれる。協定には、応急復旧を進める上での役割分担などが記載されるが、協定によって内容が不十分なものもあるという。
国交省は、自然災害が頻発し、自治体の技術職員不足が進む中で、建設業・建設関連業も含めた災害時の体制強化が必要だと考えている。
このため、今年2月から▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽全国測量設計業協会連合会▽全国地質調査業協会連合会▽建設コンサルタンツ協会―の5団体と災害時の連携を強化するための意見交換をスタート。今後、業界側の意見も踏まえて制度を整え、地方整備局・都道府県も交えて制度改正の内容を具体化する。2021年度からの運用を目指す。
災害協定は、地域や業種に応じた効果的な協定とし、記載項目や運用手続きを標準化する。災害協定に記載された事業者選定のプロセスも明確にする。さらに、災害対応の優先順位も明らかにし、復旧作業の円滑化・迅速化につなげていく。
災害時の入札契約の適正化と効率化も検討する。災害発生時、発注者の口頭の要請で出動せざるを得ないため、危険業務に従事する従業員の労災認定を不安に思う経営者もいる。書面での契約を徹底したり、被災現場のリスクを考慮した手当・補償を予定価格に反映することも検討する。
災害対応に従事する建設業・建設関連業の車両が被災地を緊急通行できる枠組みも検討。災害対応に当たる建設業向け統一のビブスを着用してもらうなど、発注者による広報の強化も検討する。