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日南東郷ICなどフルIC化 都市計画変更手続きに着手

 国土交通省は7月29日、片方向のみ乗降可能なハーフインターチェンジ(IC)として計画していた日南・志布志道路の日南東郷ICと油津・夏井道路の(仮称)奈留ICに関して、フルIC化に向けた都市計画変更手続きに着手すると発表した。両方面から乗降可能なフルICとして整備することで、速達性の向上による企業誘致等の支援のほか、災害時救急搬送等の支援が期待される。

 東九州自動車道の一部を形成する日南・志布志道路と油津・夏井道路は、地域観光の発展や産業活動を支援する自動車専用道路。並行する国道220号の縦断線形不良個所や事故率の高い箇所等を回避するとともに、南海トラフ巨大地震時の津波浸水域を回避し、災害時の救援活動等にも機能する信頼性の高い高速ネットワークを形成する。

 このうち、2016年度に事業化された日南・志布志道路は、日南東郷IC~油津ICの日南区間(延長3.2㎞)と、夏井IC~志布志ICの志布志区間(同3.7㎞)の2区間で構成。全体事業費は約222億円で、概算数量は▽土工約134万m3▽法面工約16万m2▽橋梁工7箇所▽IC2箇所▽舗装工約7万m2―などを見込んでいる。

 一方、19年度に事業化された油津・夏井道路は、日南市平野~南郷町中村甲の油津区間(延長6.4㎞)と、串間市串間~志布志市志布志町の串間・夏井区間(延長14.1㎞/県内区間は約9・7㎞)の2区間で構成する。全体事業費は約750億円で、両区間にはトンネル3箇所と橋梁15基のほか、IC5箇所の整備を計画する。

 国交省は、日南・志布志道路の日南東郷ICは宮崎市方面、油津・夏井道路の奈留ICは志布志市方面への乗降が可能なハーフICを計画していたが、両市がIC周辺の企業進出支援や大規模災害時の防災体制の強化に取り組む姿勢を示したことから、両方面に乗降可能なフルIC化に向けた都市計画の変更手続きに着手することを決めた。

 日南東郷ICをフルIC化することに伴い、近隣の工業団地から多方面へのアクセスが可能となり、長距離貨物の取り扱いを拡充した運送業等の更なる事業拡大につながることを期待する。また、地域災害拠点病院と航空搬送・物資輸送拠点を信頼性の高い高速ネットワークで結び、災害時におけるネットワークの多重性を確保する。

 一方、奈留IC周辺では大規模な集出荷貯蔵施設が増設されるなど、東九州道の開通を見据えた事業が拡大している。フルIC化に伴い、かんしょ生産地域の産地間競争力の強化と事業拡大を支援するとともに、大規模災害時における高速道路を活用した多方面への迅速な道路啓開・救助活動や二次医療圏の医療体制整備を支援する。

 フルIC化に向けた手続き着手に関して、宮崎県の河野俊嗣知事は「日南市及び串間市における高速道路の利便性が大きく向上し、産業振興や防災・救命活動等の面で高速ネットワークによる新たな整備効果が期待できる」「唯一の未事業化区間である南郷~奈留間の事業化に向けて、大きな弾みがつくものと期待している」とコメントを発表した。

県発表の参考資料