▲写真はクマンツメ取付状況、作業模様、施工後の床版
宮崎市のコマツレンタル宮崎(後藤健治代表取締役社長)が開発した橋面舗装版二次剥ぎ取り特殊ツース「クマンツメ」が、国土交通省の新技術活用システム検討会議に於いて、新技術情報提供システム(NETIS)に登録された技術の中から、2020年度の推奨技術に選定された。バックホウの刃先に特殊なエッジ(クマンツメ)を取り付け、橋面の舗装版を削り漏れなく剥ぎ取り、施工性や作業性の向上を実現する。
戦後の高度経済成長期に建設された大量の社会インフラが更新時期を迎え、約70万箇所にのぼる国内の橋梁では、経年に伴う構造体や床版等の損傷・劣化が進む。交通量の増加や車輌の重量化といった交通情勢の変化もあり、アスファルト舗装版の剥ぎ取り打替えやコンクリート床版の補強・防水工事などが急増している。
既設橋梁の舗装版の打替えでは、まず、大型切削機で荒剥ぎ一次切削を施工。二次切削で剥ぎ残しを完全に除去する必要があるが、従来工法では10~15%の剥ぎ残しを克服できなかった。また、切削刃の鋼板にSS材質の平板(直板)を使用しているため、摩耗量や切削振動が大きく、床版への負担も懸念されていた。
クマンツメは、バックホウの刃先に湾曲したエッジを取り付けて、舗装版の二次切削を行う「アスファルト舗装版打ち替えに伴う不陸整正切削除去器具」。切削刃には耐摩耗性に優れたボロン鋼を使用し、舗装版を剥ぎ取りやすい湾曲型に形状を変更した。バックホウへの取付ツースも改良し、剥ぎ残しほぼゼロの施工に成功した。
クマンツメによる施工では、仕上がり面に剥ぎ残しが無く、橋梁コンクリート床版のブリスタリング現象による被害が激減。床版への切削振動も微震で、切削刃の刃こぼれも皆無だ。切削刃1セットあたりの施工能力は、従来工法の2倍(500m2/日)にアップした。防水シートや塗膜の障害となる突起も無く、安心施工を実現する。
適用範囲は、橋梁舗装版打替え工事や二次切削施工のほか、コンクリート構造物頂面のアスファルト舗装版の剥ぎ取り仕上げ、舗装基盤がコンクリートで防水工法等が伴う場合の凹凸突起物切削除去など。クマンツメを活用した施工者には、総合評価方式や工事成績評定への加点といったインセンティブが付与される。
同社の長谷川正典氏は、「NETIS登録技術の中から特に優れた技術に選定され、開発担当者としての重責を感じている。橋梁床版のブリスタリング現象被害の原因は多岐にわたるが、橋梁補修工事不陸層の二次剥ぎ取りでの剥ぎ残しによる『防水工法の破損』といった誘因があり、剥ぎ残しを無くすため、試行錯誤して開発したのが『クマンツメ』。重機に簡単に装着でき、作業効率及び時間短縮、剥ぎ取り後の精度、ハツリ作業員の人員削減が実現でき、コスト削減にも大きく貢献する。これからも、現場が困っている問題に取り組み、新しい技術を提案していきたい」と話す。
諸元は▽0・28m3用=全長225㍉、全幅160㍉、厚さ12㍉、質量4・4㌔㌘▽0・16m3用=全長190㍉、全幅160㍉、厚さ12㍉、質量3・26㌔㌘。NETIS登録番号はQS-170005-VE。クマンツメの詳細は同社ホームページで確認できるほか、剥ぎ取り作業の模様をYouTubeで閲覧できる。
問い合わせ先は、コマツレンタル宮崎(宮崎市佐土原町下那珂2957-12、電話0985-72-1234)。