建設業労働災害防止協会(建災防)は6月29日、第58回総代会を都内で開いた。役員改選では第5代の会長に今井雅則氏(戸田建設代表取締役社長)を選任。総代会では、建設業労働安全衛生マネジメントシステム(コスモス)のさらなる普及促進や安全衛生に関する調査研究の推進を盛り込んだ2020年度事業計画を承認した。
今井新会長は就任に当たり、労働災害の撲滅について「その重要性とともに、難しさを認識している。ぜひ皆さまの力をお借りしたい」と会員に呼び掛けた。
1999年から21年間にわたって会長を務めた錢高一善氏(錢高組相談役)は「現場で働く作業員の方々が建災防の主役だ。”作業員ファースト”とも言うべき伝統を、これからも引き継いでほしい」と述べた。
総代会では、錢高前会長のこれまでの活動に対し、厚生労働省と建災防からそれぞれ感謝状が贈られた。
■コスモス活用、メンタルヘルス対策を強化
建設業労働災害防止協会の第5代会長に就いた今井雅則氏(戸田建設代表取締役社長)と、前会長の錢高一善氏(錢高組相談役)は、6月29日の総代会後に記者会見を行った。今井新会長は「前会長の21年にわたる活動は、会員のみならず建設業全体の労働災害防止対策を推進する組織として建災防を発展させた」と振り返った。
今後は前会長の路線を踏襲し、「建設業労働安全衛生マネジメントシステム(コスモス)を活用した現場の安全管理や、健康KYと無記名ストレスチェックによるメンタルヘルス対策など、建災防独自の取り組みをさらに強化する」との考えを示した。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に対応する方針を表明。「社会経済状況の変化に敏感に対応し、建設業の安全衛生分野の旗振り役を務めていきたい」と述べた。
新技術やICTの活用による職場の安全対策にも積極的に取り組む姿勢を示した。「建設現場の安全衛生対策は人材確保の観点からも重要な課題だ」と強調。建設キャリアアップシステムと連携した安全衛生の取り組みについても研究していく。
錢高前会長は、今井会長について「弱い人、頑張っている人、つらい人に目が届く。この人しかいない、と考えてお願いした」と述べた。
また、新型コロナウイルス感染症の予防のためマスクを着用することが熱中症など別の労働災害のリスクを高める恐れがあることを指摘。「総合的に対処していく必要がある」と述べた。