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予算確保、平準化、新3Kへ努力 宮崎建協・藤元建二新会長

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▲藤元建二新会長

 県内最大の建設関連団体である一般社団法人宮崎県建設業協会(会員数479社)の新会長に、東諸地区建設業協会会長の藤元建二氏(株式会社藤元建設)が、歴代最年少の55歳で就任した。藤元氏は建設専門紙の共同インタビューに応え、公共事業予算の確保や発注の平準化、働き方改革への対応といった山積する課題に対し、建設業界と行政等の発注者が一体となって取り組む必要性を指摘するとともに、次世代の担い手のためにも、新3Kの実現に向けて努力していく考えを示した。

 ―会長就任にあたっての抱負をお聞かせください。

 「70年の歴史を持つ協会の会長ということで、責任の重さを感じている。公共投資の減少や働き方改革への対応など、建設業界には課題が山積しているが、こうした課題に対応していくためには、個々の企業だけでは限界があり、業界はもとより発注者と一体となった取り組みが必要。皆さんの意見を聞きながら、業界の果たしてきた役割を再確認し、業界、地域、県の発展に尽くしていきたい」
 「また、次世代の方々が事業を継承したいと思えるような建設業を構築していくと同時に、若い世代が入職しやすい環境や、安定した建設業界を目指していく必要がある。新3K(給与・休暇・希望)の実現に向けて努力していく」

 ―県内の建設業を取り巻く現状と課題は。

 「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策等で、ある程度持ち直してはいるが、公共事業予算はピーク時と比べて相当落ち込んでいる。それに伴い、就業者数も減少し、従業員の高齢化も大きな課題。会員企業では技術者の約半数が50歳以上となっており、将来の担い手不足が強く懸念される」
 「現在の災害対応力を維持するために、建設産業の機動力や仕組みを継続していく必要がある。そのためには、安定した公共事業予算の確保や発注・施工時期等の平準化が不可欠であり、関係団体とも密に連携を図りながら、様々な側面から努力していく。若年入職者の確保・育成を図るため、長時間労働の是正といった働き方改革の推進や建設現場の生産性向上が急務だ」

 ―働き方改革や生産性向上に、どのように取り組みますか。

 「毎月第2土曜日を一斉閉所日と定め、国や県、市町村と連携しながら取り組んでいる。皆さんの協力のおかげで、資材・下請け関係を含め、第2土曜の一斉閉所は概ね達成できており、更なる定着と拡大を図っていきたい。ただ、完全週休2日を達成するためには、安定した仕事量の確保に加え、発注及び工期の平準化が不可欠。日給月給といった建設業の給与形態自体も変えていく必要がある」
 「建設現場の生産性向上の一環として、受発注者双方の負担軽減のための工事書類の簡素化が進みつつある。また、県内各地区でICT工事の発注が進み、各地区の技術者が技術や知識の習得に励んでいる。関係者間でこういった情報を共有し、受発注者双方にとって使い勝手の良いICT工事の採用等の取り組みを促進していく必要がある」

 ―担い手の確保・育成が喫緊の課題です。

 「県内の工業系学生の県内建設業への就職率は低迷している。幼少の頃から建設業に興味を持ってもらう環境づくりが必要であり、各地区協会や青年部を中心に、建設業を正しく理解してもらうための魅力発信事業に取り組んでいる。新3Kのうち『希望』の部分が安定し、将来が見える建設業になれば、入職が期待できる。全国唯一の組織である産業開発青年隊や、県主体で作成中の建設産業就活ガイドブックなども活用し、学生やUターン・Iターンを含めた入職促進を図っていきたい。

 ―建設キャリアアップシステムの登録申請が進んでいます。

 宮崎県内では現在、約280社、2千人程度がシステムに登録しているが、建築系の職種が多く、ゼネコン主体で進めてきたため、会員の登録は数社にとどまっている。システムに登録することで、技能者にとっての仕事のやりがいを見いだし、モチベーションを上げ、建設業界を盛り上げていかなければならない。システムのメリットなどを示し、会員の理解を得ながら、協会としても取り組みを進めていきたい」

 ―県内の社会インフラについては、どのようにお考えですか。

 「宮崎県は九州の中でも特にインフラ整備が遅れている地域。東九州自動車道や都城志布志道路、九州中央自動車道、高速道路の4車線化など、地域の皆さんとともに必要性を訴えていきながら、早期の事業化や整備促進をお願いしていきたい。また、防災・減災、国土強靱化に向けた緊急対策が進められているが、県民の生命や財産を守るための津波対策などは道半ば。後世の方々の役に立つ公共工事を進めてもらいたい」

 ―会員の方々に伝えたいことは。

 「会員で良かった思える協会を目指していきたい。建設業はインフラの町医者として地域を守る立場にあり、災害発生時には自らの危険を顧みず、最前線で対応にあたっている。そういったところを適正に評価してもらえるような仕組みが必要。また、それぞれの地域の技術者や企業が技術を共有できるような入札制度に変えていく必要がある。それが結果として、県民サービスの充実に結びついていく」

【略歴】藤元建二氏(ふじもと・けんじ)宮崎県産業開発青年隊修了後、1984年藤元建設入社、96年から同社代表取締役。2014年に東諸地区建設業協会会長、宮崎県建設業協会常任理事に就任。18年5月~20年5月に宮崎県建設業協会副会長、20年5月から同会会長。趣味はゴルフ。国富町出身。55歳。