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主競技場は延べ2万㎡程度 陸上競技場基本設計の概要

 宮崎県は、開会中の6月定例県議会総務政策常任委員会で、都城市山之口運動公園に整備する陸上競技場の基本設計の概要を示した。第一種公認の主競技場はRC造一部S造4階建延べ2万0620m2で、観客席数は1万5000席程度を確保する。第三種公認の補助競技場はS造2階建延べ1900m2で、観客席数は1000席程度とする。

 総合運動公園をはじめとする県有体育施設の多くは経年に伴う老朽化が進み、2026年に本県で開催予定の国民スポーツ大会及び全国障害者スポーツ大会に必要な施設基準を満たしていないなどの課題を抱える。このため、大会の主会場と位置付ける陸上競技場を都城市、体育館を延岡市、プールを宮崎市にそれぞれ整備する。

 山之口運動公園の区域を拡張して整備する陸上競技場は、19年3月に策定した基本計画に基づき、▽全国大会やプロスポーツを見据えた施設▽アスリートや県民、周辺住民に利用される施設▽災害に強い施設―を基本方針に掲げる。建築物等の設計業務を担当する佐藤・益田設計業務共同企業体で基本設計までが完了した。

 計画では、県道422号の東側をスポーツエリアと位置付け、北側に第一種公認の主競技場、その東側に投てき練習場(整備面積1万4000m2程度)を配置。主競技場の南側に第三種公認の補助競技場、その西側に多目的広場(整備面積1万6000m2程度)を配置する。エリア内には、トイレ棟や休憩所棟、管理用倉庫も整備する。

 主競技場はRC造(屋根部分S造)4階建、建築面積1万1940m2、延床面積2万0620m2。メイン・バックスタンドの椅子席を1万1500席程度、サイドスタンドの芝生席を3500席程度とする。官庁施設の総合耐震・津波計画基準に基づき、耐震性能目標は構造体をⅡ類、非構造部材をA類、建築設備を乙類とする。

 県内最大規模の陸上競技場として不特定多数が利用し、大規模災害時には広域的な防災拠点として機能することが求められることから、自然災害時にも高い安全性を確保することを目標とする。また、メインスタンド観客の多くを雨や直射日光から守り、快適に競技を楽しめるよう、スタンドを包み込むような大屋根を実現する。

 4階建のメインスタンドは、下部がRC造(一部SRC造)、屋根がS造。構造形式は、長辺方向が耐震壁付ラーメン、短辺方向がラーメン構造とする。基礎形式は杭基礎(既成鋼管巻きコンクリート杭を予定)。長辺方向が約187m、短辺方向が約57mの大屋根を鋼材とケーブルで構成し、外周のアーチ鋼材とともにケーブルを設置する。

 フィールド内の走路は400m×9レーンの全天候舗装を計画。走幅跳びや三段跳び、棒高跳び、走高跳びに対応する跳躍競技施設、砲丸投げや円盤・ハンマー投げ、やり投げに対応する投てき競技施設、水壕を含む障害物競走施設、インフィールドのほか、夜間照明設備や電光掲示板(大型映像装置)も整備する。

 また、補助競技場はS造2階建で、建築面積1500m2、延床面積1900m2。観客席数は1000席程度を確保する。投てき競技の練習に使用する投てき練習場の整備面積は1万4000m2程度、サッカーや野球など多様なスポーツ等に使用できる多目的広場の整備面積は1万6000m2程度とする。

 一方、県道422号の西側は駐車場エリアと位置付け、第1~第3駐車場(合計1200台程度)のほか、歩行者が道路を横断する前の滞留スペースを兼ねる広場を整備する。県では、これらの施設整備に係る概算工事費を約214億円(うち県発注工事154億円程度、都城市発注工事60億円程度)と試算する。

 整備スケジュールでは、7月から敷地の造成工事に着手し、12月までに埋蔵文化財調査を完了させるとともに、これと平行して施設の実施設計を進め、21年3月までに業務を完了させる。21年12月~24年12月に県が主競技場工事、22年度~24年度に市が補助競技場工事を行い、最終的に25年3月の整備完了を目指す。