日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は5月18日、『建設業(建設現場)における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン』をまとめた。感染経路である「接触感染」と「飛沫感染」への現場での対応など、元請けとしてとるべき具体策を詳細に示した。
5月14日に国土交通省が建設業界全体を対象に策定した『建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン』などを踏まえ、大手元請事業者団体として、下請企業と技能者の生活を守りながら現場を運営・管理することを目標にまとめた。
「接触感染」については、他者と共有する物品やドアノブなど手が触れる場所と頻度を特定し、頻度が高い接触部位には特に注意を払うべきとした。そういった部位を最低限に減らすほか、適切に消毒を行う。また入口や施設内に手指の消毒設備を設置し、手洗いや手指消毒を徹底する。
「飛沫感染」への対策では、換気の状況を考慮しつつ、人と人との距離がどの程度維持できるか▽施設内で大声などを出す場がどこにあるか―などを特定する。「三つの密」を避けるため、対人距離を、2㍍をめどに確保する。また入場者の整理や制限、マスクの着用、アクリル板・透明ビニールカーテンによる遮蔽などの対策を講じる。
現場事務所では、従業員らができる限り一定の距離を保てるよう、執務室や会議などのスペースを確保する。仕切りのない座席などの対面配置は避け、対角や横並びなどを工夫する。人が頻繁に対面する場所などは、アクリル板や透明ビニールカーテンなどで遮蔽する。また換気設備を整備するか、2方向の開口部を確保して1時間に2回以上開放する。
詰所・休憩所でも、人ができる限り一定の距離を保てるようスペースを確保する。特に食堂などでは、2㍍をめどに距離の確保に努め、困難な場合は対面で座らないようにし、アクリル板など簡易なパーテーションを設置する。
現場に車両で移動する際は、車両数を増やしたり、近隣に駐車スペースを確保するなどし、同乗や相乗りをできるだけ避けるようにする。マイクロバスを含め同乗・相乗りの場合は、座席の間隔の確保や換気をはじめ、複数の人の手が触れる場所の消毒に留意する。
ガイドラインにはこのほか、健康管理や入場制限などの対応方針をはじめ、「三つの密」を回避するための具体的な取り組み事例などを盛り込んだ。
さらに感染などによって工事を中断せざるを得ない場合の、工期の延長や請負代金の変更に関する発注者との協議▽下請けの資金繰りへの配慮や適正取引の徹底―などについても指針を示した。