高千穂町は、国の国土強靱化基本計画に基づく「串間市国土強靱化地域計画案」をまとめ、ホームページで公開した。大規模災害等で「起きてはならない最悪の事態」を回避するため、各施策分野ごとに課題や取り組むべき事項を示した。町内居住者や在勤者等を対象に、5月21日まで計画案に対する意見を募集する。
国土強靱化地域計画は、国の国土強靱化基本計画に基づき、地方自治体が定めるもの。政府は、強靱化関係の交付金及び補助金に関して、市区町村単位で策定する地域計画に基づく事業に重点配分するとの方針を示すとともに、今年度に完了を予定する3カ年対策以降の施策を考える上でのバックデータと位置付けている。
高千穂町の地域計画案では、国の基本計画や宮崎県の地域計画、町の総合長期計画や地域防災計画などと連携を図りつつ、防災・減災対策を念頭に、強靭化に関する施策を総合的・計画的に推進する。計画期間は2020~25年度の6年間。社会経済情勢の変化や施策の推進状況等を考慮し、概ね5年ごとに計画を見直す。
計画案では、町の特性と災害リスクを踏まえ、最大限の人命保護や重要な機能の維持、被害の最小化といった4つの基本目標を設定。「起きてはならない最悪の事態」を回避するため、▽行政機能・消防・防災教育▽住宅・都市▽保健医療・福祉▽産業▽交通・物流▽農林水産―など9分野ごとに、強靱化の推進方針を示した。
具体的には、住宅・建築物や公共施設の耐震化、町民の防災意識の啓発、災害情報の迅速・適格な伝達手段の確保、情報インフラの確保対策、同報系防災行政無線の整備、携帯電話エリアの整備、再生可能エネルギーの導入・促進、被災建築物応急危険度判定士等の要請体制の構築、応急仮設住宅供給体制の充実などに取り組む。
また、河川改修事業や治山事業の推進、土砂災害危険個所の周知と対策、農業用ため池の防災対策、上水道施設等の耐震化、災害時の活動拠点の整備、食料及び飲料水等の備蓄体制の構築、緊急輸送道路等の早期啓開体制整備、道路の整備と防災対策、高速道路整備の促進、緊急輸送等のための交通インフラの確保も図る。
このほか、被災地における感染症予防・衛生対策と生活環境の改善、福祉避難所の整備、広域避難対策、電力供給遮断時の電力確保、汚水処理施設の対策、合併処理浄化槽の設置推進、避難場所に指定された公園等の整備推進、危険物保管施設及び高圧ガス設備等の安全確保、災害廃棄物処理の体制整備などにも取り組む。