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[連載]ガードマンが足りない!④ 「しわ寄せが警備員に」

 警察庁の『平成30年度における警備業の概況』によると、2018年12月現在、国内には9714者の警備業者が存在し、55万4517人の警備員が働く。警備員100人未満の警備業者が89.3%を占める。35.5%は10人未満と零細だ。また、交通誘導を手掛ける会社は全体の70.7%に上る。

 「交通誘導を行う業者の80~90%は小規模な会社。特定の建設会社を顧客として立ち上げたところが多い。その建設会社の仕事がないと経営が成り立たない経緯があった」。建設業との取引での、警備会社の力関係の弱さに関して、ある警備業者はそう話す。

 東京都警備業協会の会員アンケート(18年9月)で、建設会社からのキャンセルに対する「時間的な制限」の設定について聞いたところ、84%が設定していた。しかし問題はキャンセル料の請求規定だ。一番多かったのは「当日2時間前までのキャンセルは0%請求、2時間を切った場合は50%請求、警備開始時間後は100%請求」というもの。旅行会社など他産業と比べ、極めて甘い設定だった。

 そのしわ寄せを受けるのは現場で働く警備員だ。「現場の中止に際し、警備員への給与の支給を行っているか」という質問に対して、「全額支給」は17.3%にとどまった。18.4%が「無支給」で、「一部支給」が59.2%を占めた。一部支給の具体的な規定で一番多かったのは「50%支給」。一律2000円や5000円と、金額を決めている会社もあった。

 キャンセルによって警備員の収入が減る。度重なれば生活設計が成り立たず、離職にもつながるだろう。

 警備業の取引上の立場の弱さと警備員へのしわ寄せは他にもある。

 新規入場者教育を含む現場開始前の集合に伴う料金(賃金)について、「建設会社への請求と、警備員への支給をともにしている」会社は21.4%にとどまり、「請求・支給ともにしていない」会社が56.1%を占めた。

 建設業と警備業の力関係と、警備員への待遇面でのしわ寄せが警備員の人材不足に拍車を掛ける。(地方建設専門紙の会・建通新聞社)

 =つづく=